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火宅の人


「火宅の人」(1986日)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 作家・桂一雄は、先妻に先立たれ後妻としてヨリ子を迎え入れた。ヨリ子は腹違いの一郎をはじめ5人の子どもを育ててきたが、次男が日本脳炎にかかり障害者になってしまった。以来、ヨリ子は怪しげな宗教にすがるようになり、一雄も家を遠ざけるようになる。その頃、彼は新劇女優の恵子と出会い不倫にのめり込んでいくようになる。

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(レビュー)
 実在した作家、壇一雄の半生に迫った愛憎渦巻く人間ドラマ。原作は本人が書いた自伝小説である。

 壇一雄のことは全く知らずに観たのだが、本作に登場する3人の女性との爛れた人間模様に、まるでフィクションのような感覚を覚えた。こういっては何だか、それくらいベタな不倫劇である。

 一雄は、妻ヨリ子、新劇女優の恵子、水商売をしてる葉子、3人の間を行ったり来たりする、まるで絵にかいたような甲斐性無しである。とかく昔の作家というものは放蕩者というイメージがあるのだが、それが実にしっくりとくる人物である。何と自分勝手な男だろう…と思った。

 一雄を演じるのは緒形拳。一見すると強面の俳優であり、そういうキャラを演じることも多い。しかし、ここでは飄々とした演技を貫き、どこか愛嬌も感じられる。

 例えば、恵子に妊娠を告げられた時の煮え切らない態度などは、この男の優柔不断さを最も適確に表していると思う。
 また、何か困ったことがあるとすぐにヨリ子の元に走り、一家の主であることを(そう思い込んでるのは本人だけだが…)確認して気持ちを落ち着ける。一種の逃避行動とも言えるが、かりそめの平穏に身を委ねて現実から目をそらす姿が、憐れであると同時にどこか滑稽だ。

 緒形拳は、これを肩の力を抜きながら自然体で演じてみせている。さすがの巧者ぶりという感じがした。

 一方、3人の女優陣だが、こちらはヨリ子をいしだあゆみ、恵子を原田美枝子、葉子を松坂慶子が演じている、三者三様、夫々に特色を出していたと思う。

 いしだあゆみは、子供たちに対する無償を愛を見事に演じて見せている。一雄に対しては、ほとんど無頓着なのも面白い。母は強し…といったところか。

 原田美枝子は大根役者と揶揄される売れない女優を、それに忠実に大根演技でリアル(?)に演じている。これは個人的意見であるが、実際、この頃の彼女はキャリアも浅くまだ演技はそれほど上手くないと思っている。意地悪な言い方になってしまうが、これはこれで適役ではなかったかと思う。その代わりと言っては何だが、彼女は大胆なヌードを披露しており、その脱ぎっぷりには感服した。 

 松坂慶子は、妖艶さと明朗さで一雄を虜にしていく魔性の女を演じている。他の女優に比べると、最も幅の広さを求められる役所で、演技自体は大仰でいただけないが、他の二人とのギャップは最も強く出せていたのではないかと思う。

 監督・共同脚本は深作欣二。今回はユーモアを多分に盛り込み、ともすればドロドロした愛憎劇になる所を上手く”観やすい”映画に仕上げていると思った。緒形拳の飄々とした演技のおかげもあるが、ベテランらしい確かな演出手腕が再確認できる。

 尚、本編には、真田広之演じる中原中也が登場してくる。緒形拳演じる桂一雄と喧嘩をしていたが、これは実際にあった事件ということだ。

 また、冒頭で一雄の母親役で檀ふみが登場してくる、彼女は本作の主人公、壇一雄の実の娘である。
[ 2020/11/03 00:38 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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