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とうもろこしの島

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「とうもろこしの島」(2014ジョージア独仏チェコカザフスタンハンガリー)星3
ジャンル青春ドラマ・ジャンル戦争
(あらすじ)
 ジョージアと、ジョージアからの独立を目指すアブハジアが激しい軍事衝突を繰り返す中、両者の間にあるエングリ川には、春の雪解けとともにコーカサス山脈から運ばれた肥沃な土が中洲を作り上げる。アブハジア人の老人は孫娘を伴い、この中洲に小屋を建てて、とうもろこしの栽培を始めるのだが…。

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(レビュー)
 ジョージア軍とアブハジア軍の紛争地帯の真ん中でとうもろこし栽培をする老人と孫娘の姿を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。
 紛争地帯のノーマンズ・ランドを舞台に、人と自然の繋がり、戦争の耐えない過酷な現実を突きつけた意欲作となっている。

 ただ、ある程度、物語の舞台や設定を知った上で観ないと、分かりづらい作品かもしれない。
 劇中では戦争している理由について何も語られていない。老人が中州でとうもろこし栽培する理由もよく分からない。この川には毎年春になると肥沃な土が集まるということだが、映画を観ていてもそんな説明は一切出てこない。このことを知らないと、わざわざ危険な場所で…となってしまうだろう。

 映画の作りとして、こうした分かりづらさは致命的と言っていい。誰が観ても分かりやすいのが良いとは言わないが、せめて観客が想像できるようなヒントはどこかで入れて欲しいものである。

 尚、シチュエーション的に前年に製作された「みかんの丘」(2013エストニアジョージア)を連想してしまった。ただ、本作は作風がかなり独特で寓話性を帯びた作りになっている。シチュエーションは大いに相関するが、タイプはまったく異なる作品だと言える。

 全編通してセリフはほとんどなく、ひたすら老人と孫娘が働く姿が描かれるのみである。まるで新藤兼人監督の「裸の島」(1960日)を想起させるストイックさで、ドキュメンタリーを観ているような感覚を覚えた。老人と孫娘の暮らしぶりをじっと見守っていたくなるような、そんな愛おしさに溢れている。

 後半に入ると、彼らの生活の中に負傷兵がやってきて少しだけドラマが動き出す。退屈で変わり映えのない日常に変化が訪れ、それは少女の心にも変化をもたらす。思春期らしい淡い恋心が芽生えるのだ。
 もっとも、その変化も実に些細なものである。先述した「みかんの丘」も負傷兵を巡るドラマだったが、あそこまでテーマに深く食い込んでくるわけではない。

 クライマックスには何とも言えない苦々しさを覚えた。自然に抗えない人間の非力さ。その中で争いをやめられない人間の愚かさが実直に語られている。

 全体のトーンは寓話的でありながら、テーマは非常に厳粛である。
 ただ、観ようによってはそこが一貫していないという向きはあるかもしれない。作りをリアルに寄せるのか寓話に寄せるのか。その方向性が若干定まっていないような気がしたのは残念である。
[ 2020/11/21 00:13 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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