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みかんの丘

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「みかんの丘」(2013エストニアジョージア)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンル戦争
(あらすじ)
 紛争が続くジョージアのアブハジア自治共和国。ほとんどのエストニア人がこの地を離れる中、みかん栽培をするイヴォとマルゴスはこの土地に残って収穫に精を出していた。ある日、イヴォが負傷した両軍の兵士を発見する。自宅で彼らを看護するのだが…。

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(レビュー)
 紛争が激化する農村地帯を舞台にした感動のヒューマン・ドラマ。

 まずジョージアとアブハジアの紛争についてあらかじめ知った上で鑑賞しないと、今一つこの話は入り込めないかもしれない。自分も詳しく知らなかったので、後日改めてネットで調べてみた。

 元々、両国の対立は1989年の暴動から始まっている。1992年にグルジア(ジョージア)からアブハジアが独立宣言をし、グルジア政府と激しい戦いが繰り広げられた。現在、アブハジアの主権はロシアを含め数か国に認められているが、国際的には未だ独立国家としては承認されていないそうである。
 この映画は、その紛争時に起きた事件を描いている。

 両軍の兵士を匿ったミカン農園のイヴォを主役としたヒューマニズム溢れるドラマは非常にとっつきやすい。したがって、上記のような背景を知らなくとも十分の楽しめる作品になっていると思うが、知っていると知っていないとでは感動の度合いが違ってくるだろう。あらかじめ理解したうえで観ることをオススメする。

 本作は何と言っても、主人公イヴォのキャラクターが魅力あふれる人間で惹きつけられた。確かに余りにも人が良すぎるという気がしなくもないが、彼の平和的思想と慈愛に満ちた精神は実に尊いものである。
 彼の人柄が、睨み合いを続ける両軍の兵士アハメドとニカの関係融和に一役買ったことは間違いない。イヴォの存在は本ドラマの大きな”柱”となっている。

 尚、本作を観て、「ククーシュカ ラップランドの妖精」(2002ロシア)という作品を思い出した。あれも敵対する二人の兵士が、一人の女性の家で共同生活を送るうちに、次第に打ち解けあっていく物語だった。本作とシチュエーションがよく似ている。

 あるいは、ボスニア紛争を描いた「ノーマンズ・ランド」(2001仏伊ベルギー英スロヴェニア)も、この系譜に入る作品と言えるだろう。ボスニアとセルビアの中間地帯(ノーマンズランド)の塹壕に取り残された敵対する兵士の葛藤をシニカルなユーモアを交えて描いた傑作だった。

 このように本作のプロット自体は、決して斬新というほどではない。
 ただ、イヴォというキャラを通してどこまでも実直に反戦を貫いた所には、作り手側の揺るぎない姿勢が感じられ、こちらも真摯に受け止められる。

 また、ラストも安易に楽観思考に陥ることなく、戦争の無為を観る者に強く訴えかけてくる、極めて現実主義な締めくくり方になっていて好感が持てた。
 みかんを入れる木箱作る仕事をしているイヴォが、最後に作るのが棺桶だったという所に戦争に対する強いアイロニーが感じられる。

 有名な俳優やスタッフが関わっているわけではないので、どうしても埋もれてしまいがちな作品だが、普遍的なテーマを描いている良作なので、多くの人に観てもらいたい傑作である。
[ 2020/11/18 00:56 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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