「フリーソロ」(2018米)
ジャンルドキュメンタリー・ジャンルスポーツ
(あらすじ) 命綱なしで崖を上るフリーソロの世界で活躍するアレックス・オノルドに密着したドキュメンタリー。
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(レビュー) フリーソロというロック・クライミングあることを全く知らずに鑑賞した。過去に何人もの人が滑落して命を落としたそうである。なぜ彼らは命を賭けるのか?観終わっても、彼らの心理が自分には理解しかねる物だった。ただ一つ言えることは、まともな思考を持った人間がやるものではない…ということだけである。
本編でも描かれているが、もちろん彼らは何度もコースを確認して絶対に滑落しないという自信をもって臨んでいる。しかし、万が一ということもある。手足が滑ったら、その時点で一巻の終わりである。よくもこんなことがアメリカでは許されているな…というのが正直な感想だった。
映画はアレックスがカリフォルニアにあるクライマーの聖地、エル・キャピタルを制覇するまでを描いている。もし事故が起こったらこのドキュメンタリー自体、おそらく封印されるであろうから、最後は登頂に成功するのだな、ということは分かる。しかし、分かっていても、やはり見ている最中はハラハラさせられた。
臨場感あふれる撮影が見事である。アレックスがフリーソロに集中できるように無人カメラを各所に設置して行われるのだが、編集の巧みさもあろう。一体どうやって撮ったのか分からないような映像が出てくる。
例えば、手足のクローズアップはどのようにしてカメラに収めたのだろうか?もしかしたらそこだけ別撮りで編集したのではないか?などと穿ってしまいたくなった。それほど”映画的”な撮影技法で撮られている。
劇中では撮影スタッフの葛藤も描かれている。撮影はアレックスの集中力を削がないように細心の注意を払って行われる。しかし、アレックスの精神状態は不安定になっていく。もしかしたらこの撮影は間違っていたのではないか…と監督は複雑な心境を吐露するようになる。
また、本編にはアレックスと恋人の私生活や彼女のインタビューも登場してくる。愛する人を失ってしまう可能性があるわけだから、彼女の胸中も複雑だろう。
フリーソロは孤独な戦いであるが、決して一人で上っているわけではない。こうした人たちのサポートによって支えられているのだ…ということがよく分かる。