「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(2020日)
ジャンルアニメ・ジャンルアクション・ジャンルファンタジー
(あらすじ) 鬼殺隊として蝶屋敷で厳しい訓練を重ねた炭治郎は、新たな指令を受けて、仲間の善逸、伊之助とともに無限列車に乗り込む。その列車ではすでに40人以上の行方不明者が出ており、送り込まれた剣士たちも全員消息を絶っていた。炭治郎たちは、鬼殺隊最高位の剣士“柱”のひとりである煉獄の指示を仰ぎながら列車に潜む鬼と対決していく。
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(レビュー) 「週刊少年ジャンプ」で連載されていた「鬼滅の刃」の劇場用アニメーション。同名のテレビシリーズが2019年4月から9月まで放送されており、今回の劇場版はその続編である。
自分は原作は未読であるが、TVシリーズはひととおり見たうえでの鑑賞である。
あらかじめTVシリーズを見ているか原作を読んでないと、今回の内容を全部理解するのは難しいだろう。一見さんには少し厳しい作品ではないかと思う。
尚、今現在、本作の興行収入は240億円を超えており、これは日本映画歴代興収5位にまで登り詰めている。どこまで数字を伸ばすのか、今後の大きな関心事となることは間違いない。
さて、映画の内容については、先述したTVシリーズの直後の話ということで、TVを見ていた人ならそのまま入り込める内容となっている。製作陣も同じなので期待を大きく裏切ることもなく、クオリティの高いアクション映像、個性的なキャラの活躍が存分に楽しめる。これならファンも十分に満足できるのではないだろうか。
また、今作から炭治郎たちの戦いをバックアップする煉獄というキャラが登場してくる。彼が物語の後半部分を大いに盛り上げており、その存在感は劇中随一と言って良いだろう。そのバックボーンも含め大変魅力的なキャラクターだった。
一方で今回の敵・魘夢は、ややキャラクター的に弱いと感じてしまった。彼の出自については前段となるTVシリーズで描かれていたが、どうしても小物感が漂う。こちらにも煉獄のようなバックストーリーが配されていれば、もう少しキャラを活かしきれたような気がする。
とはいえ、夢を操る特殊能力を持った鬼という設定自体は魅力的である。そこに絡めて炭治郎の凄惨な過去を掘り下げたのも面白い試みに思えた。炭治郎が鬼と戦う意味と覚悟を、改めて観る側に提示したところに作劇の上手さを感じる。
一つ惜しいと思ったのは、炭治郎たちの夢の中に入り込む子供たちの扱いだろうか。何が彼らをそこまで突き動かすのか?その動機に説得力があまり感じられなかった。また、最終的に彼らはどうなってしまったのか?そのフォローを明確に描いて欲しかった。結局、その他大勢のモブに紛れてしまったのはいただけない。
音楽も効果的にハイクオリティな映像を盛り上げていて良かった。
そういう意味では、IMAXのような大きなスクリーンと大音響が鑑賞には最も適しているとも言える。
キャスト陣の熱演もそれぞれに素晴らしかったと思う。
特に、炭治郎を演じた花江夏樹の慟哭には突き動かされるものがあった。
尚、今回の映画は原作の途中までの物語である。ファンとしては続編が待たれる所であるが、ここまでの大ヒットを記録しているのであるから、いずれ正式に続編の製作発表がされるのではないかと思う。