「俺たちニュースキャスター」(2004米)
ジャンルコメディ
(あらすじ) 1970年代のサンフランシスコ。ロン・バーガンディは、視聴率ナンバー1を誇るニュース番組の看板ニュースキャスターである。ある日、キャスター志望の野心溢れる女性ヴェロニカが入社してくる。激しい対立を繰り返いしていく中、ロンはある発言がきっかけで降板させられてしまう。
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(レビュー) 名物ニュースキャスターが巻き起こす騒動をブラックな笑いで描いた痛快コメディ。
1970年代と言えば、まだ女性の社会進出がそこまで活発ではなかった時代である。当然、女性のニュースキャスターも珍しかった。女は家庭を守るものといった風潮が根強く残っていて、職場における女性の地位は男性よりも低く見られていた。
本作を観てロバート・レッドフォード、ミシェル・ファイファー共演の「アンカーウーマン」(1996米)という映画を思い出した。こちらも女性キャスターが成功を収めていくドラマであるが、ヒロインは1970年代に実在した人気女性キャスターをモデルにしたそうである。もしかしたら本作のヴェロニカもこの女性キャスターがモデルだったりするのかもしれない。
それにしても、一つ疑問に思うのは、何故この時代の物語を2004年に製作したのか、ということである。製作された当時はすでに女性の社会進出は当たり前のようになっていたし、決して時代にリンクするような物語でもない。本作の製作意図がよく分からなかった。
それはさておき、作品自体はコメディとして十分に楽しむことができた。
製作にジャド・アバトーの名前があることから分かる通り、いわゆるアバドー一家が集って製作された作品で、スタッフもキャストもお馴染みの面々が揃っている。夫々に勝手知ったる仲であり、息の合ったコンビネーションが作品の軽妙なノリから伺うことができる。下ネタやブラックな笑い等、少し癖のある笑いもアバトー作品らしい。
個性的なキャラも物語を面白く見せている。ロンは同局のキャスターと徒党を組んでいつも一緒に行動している。彼らのやり取りが軽妙でいちいち楽しい。
ただ、前半はドラマに動きが少なく少々退屈してしまった。見ようによっては内輪でワイワイ楽しんでるだけ…と捉えられなくもない。
個人的に最も笑ったのは、ロンたちと他局のキャスターたちが決闘するシーンだった。バイオレンス描写が必要以上にブラックで笑ってしまった。
また、落ちぶれたロンのやさぐれ加減も哀愁に満ちていて微笑ましく見れた。
クライマックスは少々こじんまりとしているが、ドラマを収集するという意味では必要にして十分の盛り上がりだったように思う。ラストも清々しくまとめられていて後味は爽やかである。
キャストでは、何と言ってもロンを演じたウィル・フェレルのツボを押さえた妙演が素晴らしかった。他に、ポル・ラッド、スティーヴ・カレルといったアバトー一家が脇を固めていて、こちらも堅実である。
ゲストキャストもかなり豪華である。セス・ローゲン、ダニー・トレホ、ティム・ロビンス、ベン・スティラー、ジャック・ブラック等、チョイ役であるがそれぞれに見せ場を作っている。