「俺たちフィギュアスケーター」(2007米)
ジャンルコメディ・ジャンルスポーツ
(あらすじ) アメリカ男子フィギュア・スケート界の2大スター、チャズ・マイケル・マイケルズとジミー・マッケルロイ。二人は犬猿の仲で互いにライバル視していた。ある日、同点一位となった世界選手権の表彰台で大乱闘を繰り広げ、二人は金メダルを剥奪され永久追放となってしまう。それから3年半後、かつての栄光は過去のものとなり、惨めな日々を送るチャズとジミー。そんな2人に再びスポットライトを浴びるチャンスが訪れる。
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(レビュー) かつてライバルだったフィギュアスケーターがペアを組んで再び脚光を浴びていく痛快コメディ。
フィギュアスケートでコメディを撮るというのは、今までありそうでなかったアイディアではないだろうか。しかも、ただのコメディではない。落ちぶれたかつてのライバルが力を合わせて再び栄光を掴んでいくというドラマはアツい感動をもたらす。全体にわたってそつなく構成された好編になっている。
ただ、中盤でジミーの恋心が描かれるが、そこがドラマを停滞させてしまうのがいただけなかった。その間、メインであるチャズとジミーの関係は舞台袖に追いやられて、ドラマの求心力が弱くなってしまう。もっとアッサリと料理しても良かったのではないだろうか。
また、ラストはかなりぶっ飛んでいて、ここまでやってしまうとさすがに悪ノリしすぎ…という気がしなくもない。もう少し抑え目にしてくれたほうが気持ちよく観終われたように思う。
本作の見所は何と言ってもスケートシーン。これに尽きると思う。
チャズを演じるのはウィル・フェレル。もはや「俺たち」シリーズに欠かせぬ俳優であるが、あのでっぷりとした体形で軽快なスケーティングを披露するのだから笑えてしまう。
対するジミーを演じるのは
「ナポレオン・ダイナマイト(旧邦題:バス男)」(2004米)での演技が印象的だったジョン・ヘダーである。こちらも独特の風貌とナヨナヨした体形で華麗なスケーティングを披露している。
見た目も性格もまるで正反対な二人がペアを組んで滑る姿は正に”凸凹コンビ”という形容がピタリと当てはまる。バディ・ム―ビーとしてはこれ以上ない組み合わせではないだろうか。
また、二人の間で編み出される新技”アイアンロータス”なる演技には度肝を抜かされた。かつて凄惨な事故を起こしてコーチが封印したと言われる曰く付きの危険な技である。これは自主規制も止む無し(笑)。
ブラックな笑いと言えば、世界大会のマスコットキャラの扱いもヒドイものだった。おそらく商業主義に傾倒する昨今のアマチュアスポーツ界に対するアンチテーゼがしのばされているのだろう。そんな反体制な姿勢に製作サイドの気骨さも伺える。