「プレミアム・ラッシュ」(2012米)
ジャンルサスペンス・ジャンルアクション
(あらすじ) マンハッタンでバイク・メッセンジャーとして活躍するワイリーは、一通の封筒の配達を依頼されたことから、マフィアや悪徳刑事、自転車に乗った警官に追われることになる。実はその封筒には1枚のチケットが入っていた。
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(レビュー) バイク・メッセンジャーがひょんなことから犯罪に巻き込まれていくアクション・クライム・ムービー。
疾走感あふれる映像演出と、時世を巧みに往来させたタイトな脚本で、最後まで一気に観ることができた。
しかし、最後は如何にも良い話的に締めくくられているが、違法移民や麻薬密売の問題をそっちのけで良いのだろうか…という疑問も持った。ハッピーエンドとして片付けられているが、少々安易に映った。
監督、共同脚本はデヴィッド・コープ。D・フィンチャー監督の
「パニック・ルーム」(2002米)やサム・ライミ監督の「スパイダーマン」(2002米)等で脚本を手掛けてきたベテラン・シナリオライターである。監督業もしているが脚本の仕事の方が多く、その経歴を見る随分と当たり外れが多い。それでも現在まで途絶えることなく仕事が続いているのだからハリウッドでは認められているのだろう。
今回の脚本は、先述したように少し強引な所や釈然としない所があり、あまり褒められた出来ではない。
ただ、華麗なバイク・アクションを見せることに集中したタイトな構成はよく出来ているし、ワイリーや悪徳刑事を含めたキャラクター造形は明快で、要所のコメディ要素も決して悪くはない。
一方、演出もキレがあって中々に魅せる。自動車の間をすり抜けるスリリングな映像にはハラハラさせられたし、ワイリーのアクロバティックな走行には大変興奮させられた。中にはCGを駆使している映像もあるが、そうだと分かっていてもやはりハラハラさせられる。
映像演出で最も印象に残ったのは、ワイリーが最短で安全なコースを一瞬のうちに脳内でシミュレーションするカットである。D・ワシントン主演の
「イコライザー」(2014米)でも似たような映像演出があったが、これはスタイリッシュで中々格好いい。
キャストでは、悪徳刑事を演じたマイケル・シャノンが印象に残った。元々この手の悪役はお手の物であるが、今回は要所でコミカルさを出しており、どこか憎めないキャラクターとなっている。
ワイリーを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットも体を張った熱演を披露している。エンドロールでNGシーンが流れるが、体のあちこちにあざを作って奮闘する姿が撮影の苦労を物語っている。