「人生スイッチ」(2014アルゼンチンスペイン)
ジャンル人間ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 人生の数奇な運命をシニカルに描いた6本のオムニバス作品。
第1話「おかえし」――仕事で飛行機に乗ったファッションモデルが意外な事実を知る話。第2話「おもてなし」――レストランでウェイトレスをしている女性が客として現れた男に復讐をする話。第3話「エンスト」――荒野のハイウェイを舞台にした壮絶な復讐劇。第4話「ヒーローになるために」──駐車切符を切られ続けた男が自暴自棄になる話。第5話「愚息」──人身事故を起こした愚息のために奔走する父親の話。第6話「Happy Wedding」──結婚式の披露宴で起こる大惨事を描いた話。
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(レビュー) どれも毒や皮肉の利いた小話になっていて最後まで面白く観ることができた。
第1話は、アバンタイトルのショートムービーのような作りでラストでアッと驚かされた。
第2話も最後のどんでん返しに驚かされた。
第3話が一番面白かった。アクションも多目で、最後はどこまで行くのか分からず実にスリリングだった。
第4話は、ご都合主義すぎる気もしたが、日ごろ鬱憤を晴らしたい人にとっては身に染みる話ではないだろうか。
第5話も衝撃的なラストが効いている。
第6話は他の作品に比べると今一つにパンチに欠ける内容で、途中ダレてしまった。もっとコンパクトにしたほうが良かったのではないだろうか。
こういうオムニバス物は作品総体としての鑑賞感はどうしても薄みになってしまうのだが、本作はテーマが統一されているので余り散漫な印象もないし、ガツンと来るオチが多いので十分楽しく鑑賞することができた。
また、各話タイプが違う話であるが、同じ監督が全ての演出を務めているのでテイストは統一感がある。どちらかと言うと、ブラックなテイストが強めで辛辣なオチが多い。この辺りは観る人の好みが分かれそうだが、個人的には面白いと感じた。
尚、タイトルの「人生スイッチ」とは言いえて妙で、なるほどと思った。運命の悪戯、偶然の出会い、あそこでああしていれば…という後悔。すべての物語から人生の数奇が見えてくる。そして、人間の愚かさ、復讐の虚しさといった教訓も読みとれた。ただのお気楽に観れるコメディとは一線を画した骨太さがある。
そう言えば、日本でも「バカヤロー!私、怒ってます」(1988日)という映画があった。森田芳光監督による全4話からなるオムバス映画で、その後に続編も製作され人気シリーズとなった。こういうのは観客に「あるある」と思わせるのが肝である。
本作はどちらかと言うと突拍子もないエピソードが多いが、不思議と「あるある」と思える内容で、「バカヤロー!私、怒ってます」に通じるようなテイストが感じられた。