「胸騒ぎの恋人」(2010カナダ)
ジャンルロマンス
(あらすじ) ゲイのフランシスはストレートのマリーと姉と弟のような親友同士にあった。ある日、2人はパーティでニコラという青年に出会い一目惚れする。3人は小旅行に出かけることになり、そこでニコラと楽しげに戯れるフランシスに嫉妬したマリーは、彼と取っ組み合いの喧嘩を始めてしまう。
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(レビュー) 同じ青年に恋をしてしまったゲイの少年とストレートの少女の複雑な胸の内をスタイリッシュに描いたロマンス作品。
製作、監督、脚本、主演はカナダの俊英グザヴィエ・ドラン。本作は彼の長編デビュー作
「マイ・マザー」(2008カナダ)に続く監督第2作である。
前作は自伝的要素を含んだ母と息子の関係に迫った作品だったが、今回は自身のゲイとしてのアイデンティティをモティーフにした3人の男女の恋愛物語となっている。前作に続き自分自身を曝け出したような作品になっていて、ドランの人間性、作家性が窺い知れるという意味で大変興味深く観れる作品だった。
物語はドラン演じるフランシスと、親友のマリーがニコラという青年に恋焦がれることで展開されていく。
ありがちな物語ではあるが、丁寧な人物描写が奏功し夫々の感情が素直に伝わって来た。いい意味で青臭く純朴な映画になっている。
特に終盤、ニコラを追いかけてそれとなく復縁を持ち掛けるマリーの姿に切なくさせられた。
また後半、疎遠になったニコラをパーティで久しぶりに見かけたフランシスとマリーの表情も絶品である。夫々の複雑な感情が手に取るように伝わってきた。
映像もデビュー作よりかなり洗練されている。
例えば、服飾関係や美術に関しては前作よりも更にこだわりが感じられた。また、画面の色彩センスにも後の才覚が伺える。この才能は次作
「わたしはロランス」(2012仏カナダ)で一気に開花させることになるが、その予兆を本作から伺える。