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シンプルメン

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「シンプルメン」(1992米英伊)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 強盗犯の兄ビルと生真面目な弟デニスは、元大リーガーで国防省爆破犯として手配中だった父の逮捕を新聞記事で目にする。二人は面会に駆けつけるが、既に父は脱走した後だった。母から父の愛人のものらしい電話番号を受け取るも繋がらず、二人はそれを手掛かりに父探しの旅に出る。

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(レビュー)
 指名手配中の父を探して旅をする兄弟をユーモラスに綴ったロードムービー。

 登場人物がそれぞれに一癖も二癖もあって面白い。そもそも元大リーガーで爆破テロ犯という父のキャラクターが圧巻で、どこからこんな発想を思いつくのだろうか。こんなキャラクターを今まで見たことがない。

 主役の兄弟もそれぞれに個性的で魅力的である。兄ビルは恋人と友人と強盗に成功するが、恋人が友人と駆け落ちしてしまうという甲斐性無しである。弟デニスは兄とは対照的で、馬鹿がつくほどの真面目な性格である。

 彼らが旅の途中で出会う人々も訳ありな面子が揃っていて楽しめる。獄中の夫の帰りを待つ美女。その夫の親友でバーを経営する男。ルーマニアから来たという少女。詩を書いているガソリンスタンド店員。それぞれに数奇な人生を歩んできたのであろう。色々と想像させる。

 ただ、これだけ多彩な人物が揃っていても、メインである兄弟の父親探しは余り盛り上がらないのは残念だった。何なら父が見つからなくてもこの兄弟は構わないといった感じで、このまま旅で出会った人たちとずっと一緒に暮らしてもいいや…という風にさえ見える。
父親探しを”なおざり”にしてしまった脚本は賛否分かれよう。個人的には観ててやや痺れを切らしてしまった。

 ラストはカタルシスを重視するよりも、兄弟のこれからの人生を色々と想像させるような締めくくり方になっている。この旅を通じて少しだけ成長した二人の姿に、しみじみとさせられた。父の背中を追うのではなく自分自身の生き方を見つけようとする二人の姿に爽やかさが感じられた。

 製作・監督・脚本は「ヘンリーフール」三部作のハル・ハートリー。独特の間の使い方や音楽の合わせ方にこの人の才覚が伺える。特に、バーのダンスシーンは白眉だった。

 尚、音楽を担当するネッド・ライフルはハル監督自身が組んでいるバンドの名前である。そして、この名前は「ヘンリーフール」三部作の登場人物の名前でもある。ある意味でハートリー作品のアイコンと言えよう。
[ 2021/05/30 00:23 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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