「砂漠のシモン」(1965メキシコ)
ジャンルファンタジー・ジャンルコメディ
(あらすじ) 聖人シモンは砂漠に高くそびえた柱の上で毎日、神に祈りをささげていた。そこに魔女や悪魔の化身がやってきてシモンの信仰心は揺らいでしまう。
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(レビュー) 5世紀ごろに実在したという聖人シメオンの伝説をモティーフに、鬼才ルイス・ブニュエルが撮った中編作品。
自分はこのシメオンの伝説をまったく知らなかったが、この題材選びからして、いかにもブニュエルらしいと思った。彼は無神論者である。その彼が、聖人として讃えられたシメオンの信仰心を意地の悪い皮肉で仕立てたことは、いかにも氏らしいユーモアだ。
柱の上で来る日も来る日も神に祈るシモンの前に、セクシーな格好をした魔女や豪勢な食料を持った悪魔が現れて甘い言葉をかける。意識が朦朧となったシモンは、どうにかしてその誘惑に負けまいと己を律するのだが、最終的には心が折れてしまう。この最後のオチにはクスリとさせられた。
46分という短い作品なので、あっという間に見れてしまう作品である。深みが足りないという意見があるかもしれないが、個人的には小話を聞いてる感じで楽しめた。
中編ながら、シュールでシニカルなユーモアが詰め込まれたブニュエルらしい逸品である。