「チャンピオン」(1949米)
ジャンル青春ドラマ・ジャンルスポーツ
(あらすじ) ミッジは足の不自由な兄コニイとカリフォルニアに流れ着く。2人はカフェを経営しようとするが、店はすでに他人の手に渡り路頭に迷ってしまう。その時、ミッジはエマという女性と出会い、そのまま結婚する。そして、持ち前の腕っぷしを買われてボクサーとしてめきめきと頭角を現していくようになるのだが…。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) ボクシングに命をかけた青年の姿を周囲の人間模様を交えて描いたスポーツドラマ。
田舎出の青年がボクサーとして成功していく話だが、その裏側では愛する人や肉親との別れ、成功と挫折、青春の光と影が内容濃く描かれている。ミッジがすべての人生をかけて上がる最後の戦いはドラマチックで見応えがあった。
とはいえ、全体的に演出にタメが少ないせいで、今一つ感情を揺さぶられるまでは至らなかった。
ラストもあっけなくて拍子抜けした。ある意味では、このあっけなさが虚無的で良いと言えるのかもしれないが、個人的には物足りなさを覚えた。
ただ、それを補って余りあるミッジを演じたカーク・ダグラスの熱演。これは一見の価値がある。
当時まだ無名だった彼を主役に起用し、一躍スターダムに乗せたのが本作だと言われている。ダグラスは無鉄砲で強気で傲慢な若者像を体現し、強烈なインパクトを残し、本作で見事にアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた。本作以降、彼はマッチョのイメージを確立させることになる。ある意味で本作は彼の俳優としての特性を決定づけた作品と言って良いだろう。