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クリード チャンプを継ぐ男

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「クリード チャンプを継ぐ男」(2015米)star4.gif
ジャンルスポーツ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 かつてロッキーとライバル関係にありながら不遇の死を遂げたボクサー、アポロ・クリード。彼にはアドニスという隠し子がいた。荒んだ幼少期を過ごしたアドニスは、養護施設に入っていた所をアポロの妻に引き取られる。数年後、すっかり更生したアドニスだったが、父が命を賭けたボクシングに対する情熱を捨てきれず、家を出て単身フィラデルフィアへと渡った。そこで父のライバルだったロッキーに出会うのだが…。

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(レビュー)
 不屈のボクサー、ロッキーの活躍を描いた「ロッキー」シリーズは「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006米)を最後に終了となった。しかし、主演したS・スタローンのシリーズへの情熱は消えることなく、ロッキーの宿敵アポロの息子を主役に据えてこうして新たなシリーズを出発させた。
 本作の後に続編「クリード 炎の宿敵」(2018米)が作られている。

 物語はストレートなスポ根物で全体的によくまとまっていると思った。
 但し、序盤のアドニスの成長がやや性急に映った。果たしてアドニスは父をどう思っていたのか?そのあたりの所をもっと丁寧に拾い上げて欲しかった。少々物足りない。

 物語が本格的に動き出すのは、アドニスがロッキーの元を訪ねてからである。ここから物語はジックリと腰を据えて展開されていくようになる。
 アドニスはロッキーの元で様々な試練を受けながら徐々に強いボクサーへと成長していく。そして、父と同様に世界チャンピオンを目指していくようになる。

 ロッキーとアドニスの関係を考えると、この物語は実に感慨深く観れる。ロッキーは目の前でアポロの死を止められなかったという後悔の念に捕らわれている。そんなロッキーにとってアドニスはいかなる存在だったのか?劇中でそこは明確に示されていないが、色々と想像すると興味が尽きない。

 あるいは、ロッキーには実の息子がいる。このことは前作「ロッキー・ザ・ファイナル」で紹介されていたが、そのことを併せ考えるとアドニスとの関係は更に味わい深く観れる。というのも、息子はかつてボクサーを目指していたが、現在ではその夢をあきらめて普通のビジネスマンになり幸せな家庭を築いている。ある意味で、ロッキーにとってアドニスは、自分の夢を託せなかった息子の代わりという見方もできる。

 このように本作は前作「ロッキー・ザ・ファイナル」はもちろん、記念すべき第1作とアポロが壮絶な死を遂げる第4作「ロッキー/ 炎の友情」(1985米)。この3本を観ていると一層味わい深く鑑賞できると思う。

 原案・監督・共同脚本はライアン・クーグラー。初見であるが、演出はテンポがよく、全体的に上手くまとめられていると思った。
 特に、クライマックスでアドニスは自らの戦う理由を探り当てていくのだが、ここなどは実にエモーショナルに演出されており、図らずもで涙が出そうになってしまった。実に熱い展開である。
 また、過去作を観ている者からすると、墓参のシーンにもしみじみときた。

 もう一つ。アドニスと恋人のラブシーンにさりげなくロッキーのペットの亀を配した演出も粋である。この亀は第1作でロッキーとエイドリアンのロマンスをユーモラスに盛り上げていた名脇役(?)だったので知っている人もいるだろう。

 このようにライアン・クーグラーは「ロッキー」シリーズのことをよく分かっている監督…という印象である。実に好感が持てる。

 正しい続編というと変な言い方だが、世の中に期待はずれな続編が色々とある中、本作は成功している方だと思う。次作も期待して観たい。
[ 2021/07/14 00:37 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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