「クリード 炎の宿敵」(2018米)
ジャンルスポーツ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) 世界チャンピオンベルトを勝ち取ったアドニスは、恋人ビアンカとの結婚も決まり幸せの絶頂にいた。そんなアドニスに、過酷な環境から勝ち上がってきた男ヴィクターが挑戦状を叩きつけてくる。彼の父はアドニスの父アポロの命を奪った、あのイワン・ドラゴだった。かつてドラゴと激しい戦いを繰り広げたトレーナーのロッキーは、この対戦に否定的だったが、父の復讐に燃えるアドニスはその挑戦を受ける。
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(レビュー) 「ロッキー」シリーズの続編である
「クリード チャンプを継ぐ男」(2015米)の第2作。
今回のアドニスの敵は、「ロッキー4/炎の友情」(1985米)に登場したドラゴの息子ヴィクターである。アドニスの父アポロの命を奪った憎き宿敵の息子ということで、彼はこの戦いに復讐心を燃やしていく。ところが、ロッキーはこれに反対する。憎しみだけでは戦いに勝てない…と説得するのだ。
物語はアドニスの葛藤を軸に展開されているが、その傍らではロッキーの心情も丁寧に描写されており、自分はそちらの方に感情移入してしまった。盟友アポロを目の前で救えなかった贖罪に捉われ続けているロッキーは、また同じ過ちを犯すのではないか?という不安に駆られ今回の挑戦を受けるなとアドバイスする。その胸中を察すると、この物語はまた別の角度から楽しむことができると思う。
一方のドラゴ親子にもドラマは用意されている。国の威信をかけて米ソ代理戦争のようになった過去のロッキー戦に敗れ、彼はどん底のような人生を送っている。そして、自分が成し遂げなかった夢を息子ヴィクターに賭ける。ドラゴ親子の思いも痛いほどよく分かる。
この「クリード 炎の宿敵」はアポロとドラゴ、夫々の親子二世代に渡る因縁のドラマとなっている。
非常にストレートなドラマだが、そこにロッキーの心情が巧みに混入されており、全体的には良くできている作品となっている。
惜しむらくは、ドラゴ親子の心情にもう少し寄り添うようなシーンがあると更に良かったかもしれない。最後のアッサリとした退場も少し物足りなく感じられた。
監督はこれが長編映画2作目となるスティーヴン・ケイブル・Jr.。前作で監督・原案・脚本を務めたライアン・クーグラが今回は製作総指揮に回っている。監督は変わったが、本シリーズの肝となるS・スタローンが引き続き原案と脚本を書いていることもあり、シリーズ上の破綻はない。堅実にまとまっている。
尚、スティーヴン・ケイブル・Jr. の次作は「トランスフォーマー」シリーズの新作ということだ。
キャストでは、マイケル・B・ジョーダンの鍛え抜かれた肉体が相変わらず健在で、逞しきクリードの戦いを熱く体現している。
スタローンも相変わらずいい味を出している。
そして、ドラゴ役に復帰したドルフ・ラングレンの再登場も嬉しい。また、「ロッキー4」をきっかけにスタローンのパートナーとなったB・ニールセンもドラゴの妻役として再登場している。