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海賊版=BOOTLEG FILM

正直よく分からんかったが、こういうブラックで不条理な作品は結構好きだ。
海賊版=BOOTLEG FILM海賊版=BOOTLEG FILM
(2006/07/29)
椎名桔平

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「海賊版=BOOTLEG FILM」(1999日)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 ヤクザと警察官は親友である。共に愛した一人の女の葬儀に出席するために、北へ向かって車を走らせていた。しかし、因縁めいた関係は一触即発の事態に発展する。ついには銃を構えて向き合うまでに至った。それを通りすがりの若いカップルに見られる。警察官は男の方を拉致し、ヤクザは女の方を拉致し、夫々に車を走らせた。その先で二人は思わぬ悲劇に見舞われる。
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(レビュー)
 ヤクザと警察官の友情と憎しみをブラックに綴ったロードムービー。
 物語は二日間の旅の出来事である。親友であり恋敵でもある2人が辿る運命をオフビートな笑いとブラックなギャグで描いている。
 
 始まってからやや暫く2人の車中のやり取りが続くのだが、ここは非常に退屈した。夫々に「俺の女だ」と言い張り、まるでガキの喧嘩のようで見てられない。セリフチョイスのセンスも悪く、あるいはこの辺りは即興なのかもしれない。その上アフレコも口と合っておらず、ほとんど素人レベルの映画作りである。ギャグも一々タランティーノ作品のパロディを匂わせるようなところがあって気持ちが悪い。

 ところが不思議なことに、この映画は後半にいくに連れて、まるで別人が撮ったかのように出来が良くなっていく。前半のグダグダなお喋りから一転、二人の愛憎が適度な緊張感と鋭い笑いで綴られていく。コミカルなものからシリアスなものまで演出は変幻自在でグイグイと画面に引き込まれた。

 特に、死体を巡ってギャグが転々と連鎖していく展開は面白かった。
 車のトランクに詰め込まれる死体、銭湯につかる死体、通夜の真っ只中に盗み出される死体等。よくもまぁ死体をネタにここまで罰当たりなギャグを連発させるものだ‥と不謹慎ながら感心してしまった。

 考えてみれば、この映画のタイトルだって実に人を食っている。「海賊版」というと違法コピーというイメージくらしか思い浮かばないが、何故こんなタイトルをつけたのだろう?
 オープニングを思い出してみると、なるほど、こういうことなのではないか‥と想像できる。

 冒頭のシーンでいきなりヤクザが撃ち殺される。推測するに、以降のドラマは全て彼が死ぬ直前に見た夢なのではないだろうか?このドラマは彼の脳裏に焼き付いたフィルム。門外不出の極めて私的なフィルム。つまり、「BOOTLEG FILM=海賊版」ということだ。

 そして、この物語で最も罪深いのはヤクザである。ラストで若いカップルが手を綱いて天国(?)へ歩んでいくが、それとは反対にヤクザは間違いなく地獄行きだろう。そこで彼は己の罪を写した「BOOTLEG FILM=海賊版」を絶え間なく見続けることになる‥。これは正に地獄のような苦行であろう。実に皮肉的である。

 この結末は、喜劇のようでもあり悲劇のようでもあり、何とも奇妙な味わいで面白かった。正直、完璧に理解したわけではないが、悶々としたものを残してくれる‥という意味で変に心に残った作品である。
[ 2008/07/26 02:55 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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