「スパイダーマン:ホーム・カミング」(2017米)
ジャンルアクション・ジャンル青春ドラマ・ジャンルファンタジー
(あらすじ) ニューヨークに暮らす15歳の高校生ピーター・パーカーは、憧れのトニー・スタークに見込まれ、彼が開発した特製スーツに身を包み、スパイダーマンとして街のパトロールに精を出していた。その頃、スタークに仕事を奪われ復讐に燃える男エイドリアンは、地球外の物質から強力な武器を作り出し、ニューヨークを危機に陥れようとしていた。
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(レビュー) MARVELコミックの人気ヒーロー「スパイダーマン」の映像化。
これまでにT・マグワイアが演じたサム・ライミ版、A・ガーフィールドが演じた「アメイジング・スパイーダマン」と、何度も映画化されてきたシリーズであるが、今回はこれまでとは趣向を変えた作りになっている所が面白い。何とピーターはすでに最初からスパイダーマンとして活躍しているのだ。
本作は
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016米)の次に製作されたMCU作品である。今回のスパイダーマンはすでにそこで登場しており、物語的な時系列では本作はその直後という設定となっている。したがって、「シビル・ウォー~」を観ていれば、今回はそのままドラマに入り込んでいける作りになっている。できれば、「シビル・ウォー~」を鑑賞してから本作を観たほうが良いだろう。
さて、これまでのシリーズと違うということで言えば、もう一つ。本作は学園青春ドラマ的な要素が大きなチャームポイントとなっている。ピーターの周囲に集まるクラスメイトとの友情、恋愛なども展開され、ヒーローとしての活躍以外にピーターの素の表情を垣間見れるのが面白い。
テイストもこれまでとは違い、彼のヒーローとしての重圧や苦悩といった葛藤は、この時点ではまだほとんど無い。大変明朗な作りになっているので誰が観ても楽しめるエンタメ色の強い作品になっている。
これを良しと取るか、物足りないと取るかは人それぞれだろうが、ただ少なくとも既存のシリーズとの差別化という意味では成功していると言えよう。
アクション・シーンも十分に楽しめた。
あらすじで書いたように、ピーターはスタークに見初められた新米ヒーローである。街のパトロールだけをしているので、まだまだ半人前扱いである。前半は派手な活躍場面はないが、コミカルさを前面に出した小さな”世直し”を中心に面白く観ることができた。
クライマックスでは一転、アイアンマンも登場して大掛かりなアクションシーンになっていく。ここから一気にドラマは熱が入ってくる。前半と後半でメリハリを利かせ、より一層このクライマックスシーンを熱く引き立たせている。
このように本作はドラマとアクションシーンが上手く噛み合っており、リブート版としてはこれ以上ないくらい成功しているのではないかと感じた。
キャストでは、ピーター役のトム・ホランドに新鮮な魅力を感じた。これまでのスパイダーマン像を壊さず、それでいて軽妙でやんちゃな新たなヒーロー像を作り上げている。
また、今回のヴィラン、エイドリアン=バルチャーはマイケル・キートンが演じている。過去のヴィランに比べて取り立てて目立ったインパクトはないものの、彼はかつてバットマンを演じていたことがあり、その経歴を知っていると中々感慨深いものがある。