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フリー・ガイ

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「フリー・ガイ」(2020米)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンルファンタジー・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 ”フリー・シティ”というオンラインゲームのモブキャラ、ガイは、ある日ミステリアスなモロトフ・ガールと出会い恋に落ちる。彼女は、ある目論見をもってこのゲームに参加しているプレイヤー、ミリーのアバターだった。そんなことを知らずに猛アタックするガイだったが…。

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(レビュー)
 オンラインゲームの世界のモブキャラがヒーローになって悪党と戦っていく痛快アクション・アドベンチャー。

 仮想世界をモティーフにした映画は「マトリックス」(1999米)以降、一つの流れを完全に作ったように思う。最近では「レディ・プレイヤー1」(2018米)といった作品も製作されたし、ハリウッドで実写化の企画も進行中の日本のラノベ「ソード・アート・オンライン」といった作品もある。この「フリー・ガイ」はまさにそうした流れの中で製作された作品と言って良いだろう。

 本作の白眉は、「ゲームの世界」=「単なるお伽噺」という所で終わっていないことである。得てしてこの手の作品の場合、仮想世界のドラマはあくまで仮想世界の話であって、その世界の中で完結してしまう場合が多い。しかし、本作は仮想世界に我々が生きる”現実”が投影されている。

 例えば、ここで描かれているモブキャラたちは、平凡に生きる我々自身の姿といって良いだろう。我々は決してヒーローになれなし、目の前の暮らしを毎日繰り返していくだけの存在である。ガイたちモブキャラもまさにそうである。全員がゲームのキャラクターを演じることに何の違和感も持たずに変わらない日常を送っている。そんな彼らを見ていると何だか他人事のように思えなくなってしまう。

 そうなってくると本作のテーマも自然とこちらの胸に響いてくる。
 モブキャラだってヒーローになれるということ。平凡に生きる我々にもそれぞれに生きる価値があるということ。退屈な日常から抜け出すための勇気と希望を持つこと。そうした前向きなメッセージが観ているこちら側に自然と伝わってくる。

 本作は”ゲームの中の世界”を描いておりながら、人生の在り方を説いて見せている。ここが他の仮想世界を題材にした作品と大きく異なる所だと思う。

 脚本家の名前を調べてみると、先述した「レディ・プレイヤー1」の脚本に参加していたザック・ペンが名前がクレジットされていた。彼はシュワルツェネッガー主演の「ラスト・アクション・ヒーロー」(1993米)の原案も担当しており、こうした虚構と現実を舞台にしたドラマを得意としているのかもしれない。今回もその作家性がよく出ていた。

 ただ、厳しい目で見てしまうと、物語は想定の範囲に収まっており、キャラクター造形も画一的すぎるきらいがある。明快にして軽妙な物語は万人受けするだろうが、もう少しキャラクター的な深みも欲しかった。特に、ガイが自分のことをモブキャラだと知った時の衝撃をも少しじっくり描いて欲しかった。

 ガイの活躍を描く”ゲーム内の世界”ばかりに目が行くが、その一方で本編では”フリー・シティ”を開発した青年キーズと女性ミリーの関係を描く”現実世界”のドラマも並行して描かれる。こちらも中々面白く観れた。ゲームと現実。二つの世界を往来するミリーの恋心が語られ、その行方はラストで爽快感溢れる結末を迎える。

 映像的な見所は何と言っても”フリー・シティ”の世界観である。ゲームのプレイヤーは皆サングラスをかけて参加するのだが、そのサングラスを通して見える世界が面白い。オンラインゲームをやったことがある人なら分かると思うが、このワクワク感はたまらないものがある。

 監督は「ナイトミュージアム1&2」や「リアル・スティール」(2012米)等を撮ったショーン・レヴィ。軽快な演出を得意とするエンタテインメント作家として実績のある監督である。今回も安定した手腕を見せている。
[ 2021/09/13 00:05 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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