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ロッジ -白い惨劇-

「ロッジ -白い惨劇-」(2019英米)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 母の突然の自殺で深い悲しみに暮れる幼い子供エイダンとミア。数か月後、父が新しい恋人グレイスを連れてきて二人の心はますます荒んでいった。ある日、彼女と一緒に田舎町のコテージで休暇を過ごすことになる。父が仕事で一旦帰ることになり、残されたグレイスと子供たちの間には気まずい雰囲気が漂い…。

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(レビュー)
 雪に閉ざされた山荘で起こる惨劇を緊張感みなぎるタッチで描いたサスペンス作品。

 母を失った幼い兄妹と父の新しい恋人のギクシャクした関係は、よくあるドラマで取り立てて新味はない。しかし、全体を覆う何とも言えぬ不穏な空気、緊迫感溢れる登場人物たちの対峙にはゾクゾクするような興奮が味わえ、最後まで面白く観ることができた。

 グレイスは別荘の中で様々な不気味な体験をしていく。どこからともなく不気味な物音が聞こえたり、あるはずの物が突然無くなっていたり等、ほとんどオカルト映画のようなテイストで物語は進行していく。ただ、本作は単純にオカルトとして片付けられない面白さも持っており、そこを読み込んでいけば中々見ごたえのある作品になっていく。

 その肝となるのはグレイスのバックストーリーである。
 彼女はかつて新興宗教団体の盲信的な信者だった。神に対する絶対的な崇拝を、未だに心のどこかに持っている。なので、彼女が体験する不思議な事象が、信心深い彼女が見た幻覚なのではないか?彼女の信仰心の裏返しなのではないか?と思えてくるのである。実際に劇中には十字架や廃教会、宗教画といったアイテムが複数登場してくる。

 もちろん、グレイスの中ではエイダンとミアから父親を奪ったという負い目を感じている。その罪の意識が彼女にこうした思い込みとも言える数々の幻覚的現象を見せている、という解釈もできる。

 いずれにせよ、グレイスは非常に信心深い女性であり、その性格がこの恐怖を形成していることは間違いない。彼女が恐怖に絡めとられていく様は、信仰に翻弄される人間の愚かさを痛烈に皮肉っているとも言える。

 物語は中盤であるどんでん返しがあり、クライマックスでもう1度サプライズが用意されている。よくよく考えてみれば、当たり前のオチではあるのだが、それでもオカルトなのかどうなのか。最後まで観る側を惑わせる作劇はよく考えられていると思った。

 ラストは大変シビアな結末となっている。これをどうとるかは観た人それぞれだろうが、少なくともこの救いのなさは自分的には大変腑に落ちる終わり方だった。安易に救いを提示しなかったことは、本作のテーマからすれば至極当然という感じもした。
[ 2021/10/11 00:21 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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