「ドランス・ワールド」(2011米)
ジャンルサスペンス・ジャンルSF
(あらすじ) ジョディは恋人とガソリンスタンドに強盗に入った。レジから金を巻き上げて逃走しようとした瞬間、突然気を失ってしまう。一方、サマンサは車がガス欠で森の中を彷徨っていた。一軒の山小屋を見つけるがそこにはトムという先客がいて…。
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(レビュー) 深い森の中に閉じ込められた男女4人の恐怖をミステリアスに綴った不条理スリラー。
一見何の繋がりもない人々が山小屋に閉じ込められるという設定が中々ミステリアスで引き込まれた。この異常な状況に戸惑う登場人物たちの不安感がじわりじわりと恐ろしさを盛り上げている。
しかも、ネタが明かされる後半では意外な展開が待ち受けていて、これも上手く考えられていると思った。
但し、こうなった原因は不明なままだし、冒頭のガソリンスタンドに一体どんな意味があったのかも不明で、そこは観客が想像してくださいと言わんばかりに終わってしまう。これをどう捉えるかで作品の評価はバッサリ分かれよう。
逆に言うと、いちいち理由を考えても仕方がないので、ここは不条理劇というスタンスで見るのも良かろう。実際、本作はこの異常現象の理屈を抜きにしても十分に楽しめる娯楽作となっている。
主要4人の喧々諤々のやり取りも中々スリリングに描けているし、先の読めない展開は決して飽きさせない。約90分というコンパクトな尺も大変見やすい。
監督はジャック・ヘラー。初見の監督さんだが、フィルモグラフィーを調べてみると基本的にはプロデューサーとしての仕事が多いようである。彼は本作で長編監督デビューを果たし、この後にもう1本日本未公開作品を手掛けている。
今作でも当然プロデューサーを兼ねているが、残念ながら予算は決して潤沢ではなかったらしく、それは画面を観ていれば一目瞭然である。クライマックスのCGもチープで、この辺りはご愛敬。ミニマルな小品として割り切れば致し方なし。