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「光」(2017日)star4.gif
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 美佐子は目が不自由な人のための音声ガイドを製作する仕事をしている。ある日、弱視の天才カメラマン中森と出会い、彼の不躾で遠慮のない物言いに反発を覚えた。ところが、彼が撮った夕日の写真を見て今までに感じたことがない感動を覚える。以来、美佐子は中森と交流を育みながら次第に惹かれていくようになる。


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(レビュー)
 映画の音声ガイドの仕事をしている女性と視力を失いつつある元カメラマンのロマンスを感動的に描いた作品。

 監督、脚本は河瀨直美。カンヌ国際映画祭の常連にして、審査委員も務めたこともある女流監督である。長編監督デビュー作である「萌の朱雀」(1997日)がカンヌに注目され、「殯(もがり)の森」(2007日)で見事にグランプリに輝いた経歴を持っており、正にカンヌの申し子のような存在である。尚、本作もカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された。

 中々ユニークな設定のドラマだと思った。ヒロイン美佐子は目が見えない人のための音声ガイドのシナリオを書いている。まだまだ仕事を始めたばかりで上手くいかない。その現場を描く一連の描写は実に興味深く観ることができた。と同時に、その苦労もよく分かった。画面の情報をどこまでシナリオに書き込むかは、受け取り方の問題もあるので非常に難しいと思う。説明不足でも困るし、逆に説明過多でも観客の想像力を奪ってしまう。このギリギリのラインを見極めるのがこの仕事の大変な所だ。

 これは映画監督の仕事にも言えることだと思う。映画監督とは常に、描くべきか描かざるべきか、その葛藤の中で作品を撮っているものだ。観客それぞれの感動のポイントが異なので、その線引きは非常に難しい。つまり、それが「演出」ということになると思う。
 おそらく河瀨監督自身も、常にその狭間で格闘しながら映画を撮っているのではないだろうか。そう考えると、本作の美佐子というキャラクターに彼女の創作者として自己投影があったのではないかと興味深く推察できる。

 物語は美佐子が視力を失いかけているカメラマン中森と出会うことで展開される。二人ともそれぞれに仕事に悩みを抱える者同士、交流を育みながらお互いに成長していく。美佐子は弱視の中森の『目』になっていくことで弱視者の立場を知り、それを仕事にフィードバックさせる。一方の中村も美佐子の献身的な愛に支えられながら、カメラマンとして再生していく。実に美しい愛のドラマである。

 本作のもう一つのポイントは、美佐子の認知症の母親の存在である。この母子は少し複雑な関係にあり、決して良好な間柄とは言えない。そんな母のことを、美佐子は中森が撮った一枚の写真を通して受け入れていくようになる。

 全体的にそつなく作られており、非常に完成度の高い作品になっている。もはやベテラン監督の領域に入っていると言ってもいいが、その鋭い人間観察眼に裏打ちされた確かな演出力には唸らされるばかりだ。

 キャストでは、河瀨監督の前作「あん」(2015米)に引き続き出演の永瀬正敏が素晴らしかった。弱視者という難役を繊細に演じており見事である。
[ 2022/02/11 00:05 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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