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ヒメアノ~ル

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「ヒメアノ~ル」(2015日)star4.gif
ジャンル青春ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 清掃会社で働くお人好しの青年・岡田は、退屈で孤独な日々を送っていた。ある日、職場の先輩・安藤と行きつけのカフェを訪れる。すると、そこで高校時代の同級生・森田と再会する。かつて酷いイジメに遭っていた彼はすっかり別人のようになっていた。


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(レビュー)
 かつての同級生と再会したことで思わぬトラブルに巻き込まれていく様を独特のユーモアと過激なバイオレンス描写で描いた犯罪青春映画。
 「ヒミズ」(2011日)の古谷実の同名コミック(未読)を実写映像化した作品である。

 映画は前半と後半でかなりテイストが異なる。前半は割とコメディタッチが横溢し楽しく見れるのだが、後半から凄惨なシーンが出てくるようになりほとんどサイコサスペンスのような作りになっていく。

 また、ストーリーも2本のドラマが存在し、それが中盤で邂逅することでテイストもコメディからシリアスへと一変する。そのタイミングでタイトルも表示され、中々凝った構成で面白いと思った。

 原作は未読なので分からないが、こうした特異な構成は映画独自のものなのではないだろうか。人によって賛否あるかもしれないが、個人的には一粒で二度美味しいという感じで楽しめた。

 ただ、原作準拠なのか前半のリアリティのなさは、後半のシリアスさと比較するとやや陳腐に映ってしまう。安藤の造形、カフェの店員ユカを巡る色恋沙汰はほとんど高校生レベルのお遊戯のようで観ててなんだか苦笑せずにいられなかった。
 思うに、安藤を演じたムロツヨシのクセの強さが大いに関係しているような気がする。無論それが彼のキャラであることは分かるのだが…。
 逆に、森田を演じた森田剛がシリアス演技を貫き、ただ一人浮いているという状況にもなっている。本作における彼の存在感は圧倒的で、彼なくして作品の強度は保てなかっただろう。だからこそ余計に前半のリアリティのなさが惜しまれた。

 ともかく、良し悪しはあるにせよ、これほどまでにバラバラな演技陣を1本の作品としてまとめ上げたのは奇跡的とすら思う。

 ラストは良かった。かなり残酷な結末と言えるが、同時にかすかな安堵も感じられる不思議なテイストとなっている。岡田と森田の過去がフラッシュバックされることで、時間が巻き戻るというドラマチックな演出に鳥肌が立った。見事な締めくくり方である。

 監督、脚本は昨今メキメキと頭角を現している注目の俊英・吉田恵輔。元々は塚本晋也監督の下で経験を積んできた作家である。師匠譲りのコミックタッチな演出が特徴的で、ラディカルさの中に毒々しい笑いが入り混じる独特のテイストを持っている。今回が初見だが今後も気にしてチェックしていきたい。
[ 2022/07/09 00:43 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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