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エール!

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「エール!」(2014仏)星3
ジャンル青春ドラマ・ジャンル音楽
(あらすじ)
 フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家は、高校生のポーラ以外、両親も弟も全員耳が聴こえなかった。そのためポーラが通訳係をしながら家族の暮らしを支えていた。ある日、ポーラは音楽教師に歌の才能を見出され、パリの音楽学校のオーディションを受けることを勧められる。

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(レビュー)
 家族に縛られながら生きる少女が自律していく様をユーモアを交えながら描いたハートフルな青春ドラマ。

 普通に考えればギスギスしてもおかしくない家族関係だが、全体をコメディトーンで料理したことが奏功し、誰が観ても楽しめる娯楽映画に仕上がっている。

 何と言っても、ポーラの前向きで明るいキャラクターが魅力的である。この年頃らしい無邪気さや性徴も微笑ましく描かれており、観ているこちらも自然と彼女の葛藤に感情移入しながらストーリーを追いかけていくことが出来た。

 ポーラは類まれなる歌声を音楽教師に見初められて、パリの音楽学校の受験を勧められる。しかし、パリへ行ってしまったら残された家族はどうなるのか?それを考えると今一つ彼女は受験に踏み切れない。思いあぐねた結果、家族に打ち明けるのだが…というのが本ドラマの肝である。

 ポーラのその決意を知った家族の反応が面白い。父親と弟は割とポーラの考えを尊重しているように見えたが、母親は頑なに引き留めようとしていた。お腹を痛めて生んだ大切な娘ということもあろう。彼女だけは手放したくないという感情が他の二人より一層強いように見えた。このあたりの心理は中盤の彼女自身の口から吐露される出産時の思い出話の中に想像することが出来るが、自分はそこに母性愛の功罪を見た。

 本作はポーラの自律というのがメインドラマになるが、それ以外に父親の村長選挙出馬、コーラス部の男子生徒とのロマンスがサイドストーリー的に語られる。メインのドラマに上手く絡めていると思うが、描き方という点ではそれぞれに疑問を持った。

 まず、選挙結果を明確に描かなかったことは、観る側に対して不親切だと思った。勝てない選挙だろうということは誰が観ても分かる。しかし、家族は勝利を信じて戦ってきたわけであるから、そんな彼らの落胆振りを描かないのはドラマ的に言って実に勿体ない話である。物語をドラマチックにする上でも必要な描写だったのではないかと思う。

 コーラス部の男子生徒とのロマンスも少し中途半端な描かれ方をしていると思った。ポーラと彼は同じパリの音楽学校を受験する者同士、ある種ライバル関係でもある。そのため、ただのパートナーというわけではない。色々とギクシャクしながらも、最終的には清々しく上手くまとめているが、その関係変遷が描き不足のように感じてしまった。

 とはいえ、こうした細かな不満点はあれど、クライマックスシーンですべてを持って行かれた、というのが正直な感想である。演出も素晴らしく、それまでの不満点はどうでもよくなってしまった。大衆娯楽映画かくあるべし、という思いでエンドロールを噛み締められた。何だかんだ言いながらも、やはりこういう映画は好感が持てる。
[ 2022/02/01 00:15 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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