「バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ」(2021米)
ジャンルホラー・ジャンルアクション
(あらすじ) アメリカ中西部の街ラクーンシティにある製薬会社アンブレラ社で何らかの流出事故が発生した。ラクーンシティ出身のクレアは、兄クリスを訪ねて5年ぶりに帰郷する。その最中、人肉を求めてさまよう凶暴なゾンビと化した住民たちに遭遇する。
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(レビュー) 世界的にヒットしたホラーゲーム「バイオハザード」を実写映画化した作品。
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で映画化したシリーズもあったが、あちらは映画独自のストーリーで展開する、ある種二次創作的な内容だった。シリーズの1作目こそ原作の世界観に沿った作りだったが、続編が製作されるたびにアクション性とSFの要素が強まり原作からかけ離れて行った印象がある。それに比べると本作は原作ゲームにかなり準拠した内容となっている。具体的にはゲーム版の「1」と「2」を抱き合わせたような物語になっている。
監督、脚本は
「海底47m」(2017米)をスマッシュヒットさせたヨハネス・ロバーツ。彼自身、原作のゲームをこよなく愛しているということで、元々が持っている不気味でダークなトーンがうまく反映されていると思った。実際にゲーム画面と比較してみても、中々の再現度で、ロバーツ監督の映像に対するこだわりが感じられる。
ただ、2つのストーリーラインを1本のストーリーにまとめようとした結果、散漫な印象になった感は拭えない。クリスが特殊部隊の仲間とゾンビで埋め尽くされた洋館を探索するシークエンスと、クレアが警察署でゾンビの襲撃を受けるシークエンス。この二つを同時並行で描いている。当然クライマックスではこの二つが結びつくわけであるが、大きく盛り上がるまでには至っていない。原作を忠実に再現しようとした結果、夫々の物語が持つパワーが半減してしまったという印象である。
また、映像に対する再現度が高い一方、キャストについては原作との乖離がより強調されてしまった感じがする。このあたりはミラ版のキャスティングと比較すれば一目瞭然である。どちらにもゲームに登場するキャラクターが登場してくるが、再現度ということで言えば明らかにミラ版の方がクオリティは高い。
もっとも、本作は薄暗い場面でのアクションシーンが多いので、この違和感は観て行くうちに段々と慣れて行ったが…。
尚、エンディングで続編を匂わすようなおまけが付いている。おそらく製作会社であるコンスタンティン・フィルムは同社製作のミラ版「バイオハザード」の興行的な成功を鑑み、今回もリブート版という形でシリーズ化を狙っているのだろう。すべては数字次第だが、果たして?