「スリー・フロム・ヘル」(2019米)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) キャプテン・スポールディング、オーティス、ベイビーの殺人一家は警官隊の銃撃を逃れたものの、逮捕され裁判にかけられる。キャプテン・スポールディングは死刑となり、オーティスとベイビーは無期懲役に処された。ところが、腹違いの兄弟フォクシーの協力を得てオーティスが脱獄に成功すると、再び殺戮の饗宴が始まる。
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(レビュー) 殺人一家の逃避行を描いたシリーズ第3弾。「マーダー・ライド・ショー」(2003米)、
「マーダー・ライド・ショー2~デビルズ・リジェクト~」(2005米)から約14年ぶりとなる続編。
監督、共同製作、脚本は引き続きロブ・ゾンビが務めている。これまでのストーリーありきで始まるので、出来れば旧作を観たうえでの鑑賞がお勧めである。本作単体でもそれなりに楽しめるが、それだけだとかなりドラマが味気なく感じられるかもしれない。
さて、スポールディングを演じたシド・ヘイグの怪演が強烈だった前2作だったが、本作では早々に退場してしまい少し残念である。今回は彼の子供達を中心とした物語となっている。
とはいえ、スポールディングほどの強烈さはないものの、オーティス、ベイビー、フォクシーたちの暴れっぷりも中々痛快で、シリーズを観てきた者からするとそこそこ楽しめる。
中でもベイビーの奮闘ぶりは際立っており、厳格な女性看守に対する反抗的な態度やナンパ男に対する無残な仕打ちなど、躊躇なく暴力的行為に及ぶところが他の二人よりも狂気じみている。
ただ、序盤は夫々に刑務所に収監されているため、いわゆる見せ場がほとんどない。本格的にドラマが動き出すのはオーティスが脱獄して以降であり、そこからいよいよ”マーダー・ライド・ショー”らしい殺戮ショーが始まる。そういう意味で、個人的には前半より後半に見応えを感じた。
メキシコに場所を移して展開されるクライマックスシーンで見せるマカロニウェスタン調な演出も中々面白かったと思う。
また、ベイビーが懲罰房で見る幻覚シーンにはデヴィッド・リンチ的なテイストも感じられ、このあたりのシュールでダークな雰囲気は個人的に面白く観れた。
キャスト陣は全てオリジナルの布陣が揃えられている。さすがに14年ぶりとなると、皆老けてしまったという印象である。物語内の時間経過と若干合っていないような印象を持ったが、そこはご愛敬と言った所か。尚、シド・ヘイグは今作の公開後、80歳で亡くなった。本作は彼の遺作となる。
またダニー・トレホがチョイ役で登場してくる。予想通りアッサリと殺されてしまうのだが、それだけで終わらないところがトレホのトレホたる所以であろう。このキャスティングにはニヤリとさせられた。