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セインツ -約束の果て-

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「セインツ -約束の果て-」(2013米)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 1970年代のテキサス。強盗を繰り返してきたカップル、ボブとルースは、ルースが身ごもったことを機に足を洗うことを決める。しかし、最後の銀行強盗で保安官たちと銃撃戦になり二人は逮捕されてしまう。ボブはルースの罪をかぶり刑務所に入った。それから4年後、ルースは幼い娘と一緒にボブの帰りを待っていた。そんな彼女の元にボブが脱獄したという知らせが入る。


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(レビュー)
 強盗犯のカップルの刹那的な生き様を抑制を利かせた演出でしっとりと描いたクライムサスペンス。

 時代設定や物語設定から、明らかにアメリカン・ニュー・シネマを想起せずにいられない。「俺たちに明日はない」(1967米)で有名なボニー&クライドよろしく、今作のボブとルースも強盗を繰り返しながら逃避行を続けている。当然ラストでは凄惨な結末が待ち受けているのだが、本作は割とマイルドに味付けされており「俺たちに明日はない」ほどの陰惨さは感じられない。むしろ古風なメロドラマ風で感傷的ですらある。それは自分の罪をかぶって刑に服した夫を思い続ける一途な女房という、ある種浪花節的なドラマが前面に押し出されているからであろう。

 監督、脚本はこれが長編2作目となるデヴィッド・ロウリー。
 ストーリーはシンプルで必要最小限な語りに徹しており、今回の小品的規模を考えれば上手く捌いているといった印象である。抑制を利かせた演出が最後まで通貫され、実に渋い作りになっている。

 特に、ボブとルースの間に割って入る第三のキャラ、パトリック保安官の物語内での立ち回りが非常に面白く観れた。
 彼はボブたちの強盗襲撃時にルースに肩を撃たれて負傷する。しかし、当事者であるルースにほのかな恋心を寄せていくようになる。ボブを一途に想いながら幼い我が子を育てる彼女に同情したというのもあるだろう。脱獄したボブから守ろうと影の騎士(ナイト)役を演じるのだ。決して報われぬ恋だが、そのあたりの複雑な感情を紐解いてみると、このパトリックというキャラは中々味わい深く観れる。

 ただ、100分足らずというコンパクトなランタイムは大変観やすくていいのだが、若干、舌足らずな個所も見受けられた。
 例えば、ボブとルースを親代わりのように育てたスケリットという男が登場してくるが、彼を含めた強盗団の内情は今一つよくわからなかった。おそらく彼らとボブの間では、物語が始まる以前から何かしらのトラブルがあったのだろうが、そのあたりの事情がうまく呑み込めない。

 一方、映像は全編に渡って丁寧に撮られていて見応えが感じられた。撮影監督のブラッド・フォードヤングは職人肌のカメラマンで、今作を足掛かりにどんどん活躍の場を広げて行っている俊英である。オスカー・アイザック主演の犯罪映画「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」(2014米)では、往年の「ゴッドファーザー」(1972米)を彷彿とさせるような陰影と深みに溢れた映像を創り上げていたし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」(2016米)では渋みのある近未来の世界観を構築していた。今作では映像叙事詩の金字塔「天国の日々」(1978米)を連想させるようなマジックアワーを駆使したロケーション撮影が素晴らしく、その美しさは一見の価値ありである。

 キャストでは、パトリックを演じたベン・フォスターが素晴らしかった。物静かで芯の強い昔気質の西部の男のような面持ちを貫き、要所を締めている。一方、ボブ役のケイシー・アフレック、ルース役のルーニー・マーラはやや物足りない。抑制された演出のせいもあろう。全体的に平坦なトーンに終始し、もう少し抑揚があっても良かったように思う。

 尚、スケリット役は名優キース・キャラダインが演じている。彼の義兄デヴィッド・キャラダインは、マーティン・スコセッシ版「俺たちに明日はない」とも言える「明日に処刑を…」(1972米)に主演しており、本作のアメリカン・ニュー・シネマ的なテイストを考えれば何となくこのキャスティングは狙ったものではないかと想像してしまう。
[ 2022/05/02 00:25 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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