fc2ブログ










エロス+虐殺〈ロング・バージョン〉

お久しぶりです。マシンを新調したりして更新が滞ってしまいました。
いきなりぶっ飛んだ作品をご紹介。
タイトルのインパクトのみに吊られると泣きを見るけど、まぁ~なんともシュールな作品。
エロス+虐殺〈ロング・バージョン〉エロス+虐殺〈ロング・バージョン〉
(2005/11/25)
岡田茉莉子細川俊之

商品詳細を見る

「エロス+虐殺(ロング・バージョン)」(1970日)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 大正5年、無政府主義者大杉栄は、女性活動家野枝と不倫関係にあった。彼にはもう一人逸子という愛人がいた。逸子は婦人解放運動の旗持ち出版社に勤めている。性の解放を常套文句にする彼は当然周囲から批判される。妻を含めた3人の女達は対立を深めていく。
 昭和44年、売春行為を重ねる永子は、モラトリアム青年和田につきまとわれていた。ある日、映像作家をしている情夫のアトリエで2人は愛し合う。しかし、永子はそれが求めていたものと違うと知ると、虐殺が写されたフィルムに肉体を投影することで自己を訴え始めるのだった。
DMM.comでレンタルする
映画生活
goo映画

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ

(レビュー)
 革命運動家大杉栄が愛人に刺された事件、いわゆる「日陰茶屋事件」をモチーフにして作られた作品。

 監督は松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手と称された吉田喜重。その映像美はアート・ドキュメンタリー出身の彼ならでは。ロング・バージョンは公開時よりも約50分長い3時間半越、2部構成となっている。長丁場だが特異な画面構図とシャープなモノクロ・タッチが、終始緊張感を持続させる。特に大正パートにおける映像美は特筆もので、大杉と野枝が桜並木を歩くシーン、海のシーンには陶酔的な美しさが感じられる。

 物語は(あらすじ)のところで書いたようにカッチリと切り分けられて進行するわけではない。大正と昭和のドラマを行き来する入り組んだ構成になっており、さらに人物の心象風景、夢想シーン、回想シーンなども挿入され、複雑で一筋縄ではいかない作りになっている。

 大正パートは、革命実現に息詰まった大杉の壊れっぷりが、妻と2人の愛人達とのやり取りの中で描かれている。昭和パートは、フリーセックスを体現する永子の生き様が青年和田との関係に赤裸々に綴られている。この2つをカットバックさせることで”時代性”という動かしようのない壁を強調した所に構成の妙が感じられた。
 大正時代に婦人解放を訴えた野枝ら女達の戦いは、自由恋愛を提唱する大杉によってズタボロにされていく。そして、彼女等の尊い戦いは現代の永子のフリーセックスへと結実していく。時代が変わることで女性の性に対する思考がこうも変わるのか‥というのが見えてきて実に皮肉的に思えた。

 それにしても、いくら政治的な問題を扱っているとはいえ、思想表現の場と言わんばかりに小難しいダイアローグが垂れ流されるのはどうしたものか。一つ一つが咀嚼を要し、それをやっていると映画を楽しむ所ではなくなってくる。本腰を入れてみるとなると、かなり苦労する映画であった。
[ 2008/08/19 03:36 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/211-af4895cb