「ゴーストシップ」(2002米)
ジャンルホラー
(あらすじ) 1962年、イタリアの豪華客船が、アメリカに向けて大西洋を航行中に突如消息を絶った。それから40年後、ベーリング海を漂う謎の船が発見される。さっそく調査に向かったサルベージ船のクルーたちは、この船が40年間消息不明となっていた豪華客船であることを知る。さらに、無人の船内で大量の金塊を発見するのだが…。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) いわゆる幽霊船を舞台にしたホラー映画だが、取り立てて目新しいものはなく、こう言っては何だが凡庸な作品である。ただ、演出のテンポが悪くないので最後まで飽きなく観ることが出来た。
物語は40年前の豪華客船で起きた凄惨な事件から始まる。この冒頭のシーンは物凄いインパクトで引き込まれた。ハッタリを利かせたギミックが良い。
但し、その後の展開は少々いただけない。現代に時代を移して、消息不明だった豪華客船の調査に乗り出すサルベージ船のクルーたちのドラマに入っていくのだが、正直キャラクターが魅力に乏しい。一応それなりに個性的に造形されてはいるものの、それが活かされているようなシーンがほとんどないのが観てて歯がゆかった。主人公はクルーの紅一点エップスなのだが、今一つ存在感が弱いのも難である。
中盤以降は不気味な少女の幽霊の恐怖を描く、いわゆるお化け屋敷型ホラーになっていく。彼女をミスリードにしてクライマックスのオチへつなげる構成は中々上手く出来ていると思った。冒頭の事件への回答にもなっているし、なるほどと思えるオチである。
尚、本作はロバート・ゼメキスとジョエル・シルバーが共同で設立したダーク・キャッスル・エンターテインメント製作の作品である。ダーク・キャッスル製の作品は小粒なジャンル映画を多数輩出しており、良くも悪くもB級感溢れる作風を特徴としている。ただ、そんな中に
「エスター」(2009米)のような傑作もあるので、中々侮れない製作スタジオであることは間違いない。
この手のジャンル映画では、昨今ではA24やブラムハウスといったスタジオが猛威を振っているが、ダーク・キャッスルもコンスタントに作品を出し続けており、今でも老舗スタジオの一つとして奮闘している。