fc2ブログ










悪魔の植物人間

pict2_205.jpg
「悪魔の植物人間」(1973英)星3
ジャンルホラー
(あらすじ)
 大学教授のノルターは植物と人間を融合させる実験をしていた。実験体はサーカス一座のリンチに浚わせており、生徒の女子学生がその餌食となる。ところが、実験は失敗に終わり彼女は死んでしまった。同級生たちは友人の失踪を心配するが、そんな中、第二の犠牲者が出てしまう。

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 いわゆるB級ゲテモノ映画という括りに入るのだろうが、監督が「黒水仙」(1947英)や「赤い靴」(1948英)、「黒い牡牛」(1956米)等で有名な名カメラマン、ジャック・カーディフということで、その辺の凡庸な作品とは一味違った独特の陰湿なトーンが充満している。

 まず、タイトルクレジットのネイチャードキュメンタリーのような植物のクローズアップ映像からして、どこか異様な雰囲気を醸し出している。植物の成長を克明に記したその映像は、まるで植物が息をする生物のようで何となく不気味だ。

 陰影を凝らした夜間撮影の不気味さも、中々に見ごたえがある。とりわけ、植物人間の造形が中々ユニークなこともあり、不気味なその姿が暗闇からヌッと現れるシーンは見応えがある。

 今作はカーディフ自身が撮影をしているわけではないが、要所の映像には氏の才覚がよく表れているように思う。

 誤解を恐れずに言えば、中盤のサーカス一座の見世物のシーンも中々面白く観れた。いかにも古き見世物小屋感が漂う”いかがわしさ”は、古典的名作「フリークス」(1932米)のオマージュとして捉えれば、過激に一歩先を目指したという感じもする。今ならおそらく地上波では放送できないだろう。

 物語は人体実験にのめり込むノルターと、サーカス団で暴虐の限りを尽くしているリンチという悪役2名を出したことでやや散漫な印象となってしまった。また、人体実験の標的になる大学生カップルを2組用意しており、これもドラマを散漫にしてしまっている。こういう作品はもっとストレートな物語でも良いと思うのだが…。

 個人的には、リンチの複雑な心理に迫る後半の娼館のシーンが最も印象に残った。先天的に顔面が奇形な彼は、サーカス団の他の仲間と自分は違うという妙なプライドを持っており、彼等を蔑み傲慢な態度で威張り散らしている。その日、仲間内の誕生日パーティーに誘われなかったことに怒ったリンチは、祝賀ムードをぶち壊して夜の街へと繰り出す。その足で娼婦を買う。そして、オプション料金を支払って「愛してる」と言わせるのだ。彼の寂しさ、孤独が表れた哀愁漂う名シーンだと思う。
[ 2022/10/25 00:21 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/2141-2eec4e6e