「デビルズ・メタル」(2015ニュージーランド)
ジャンルホラー・ジャンルコメディ・ジャンル音楽
(あらすじ) 実家を離れて叔父の家に引っ越したブロディは陰キャでメタル好きなせいで、学校ではいじめられ、目当ての女子生徒にも見向きもされなかった。ある日、レコード店でメタル好きのザックと出会い、虐められっ子たちとバンドを結成する。そして、ザックの提案でメタルの大御所リッキーが住む家に忍び込むのだが、そこには悪魔の楽譜があった。
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(レビュー) メタルサウンドに乗って悪魔に取りつかれた人間をバッタバッタと倒していくコメディ・ホラー。
監督、脚本が「ガンズ・アキンポ」(2019英独ニュージーランド)のジェイソン・レイ・ハウデンということで鑑賞した。
低予算のインディペンデント映画の割には、勢いのあるゴアシーンや、下ネタ満載なブラック・ジョークなど上々の出来栄えで結構楽しめる。特に、大人の玩具を武器にして戦うアイディアは秀逸で、こういうきわどいネタはインディペンデントならではだろう。
ただ、シナリオはかなり日和見で決して出来が良いとは言えない。
まず、個性的なバンドメンバーのキャラを今一つ活かしきれておらず、実に勿体ない扱われ方をしている。そもそもキーマンであるザックの立ち回りがドラマを掻き回しているようで、実は大して面白みが感じられないというのが致命的である。本来であれば、ブロディとの間に育まれる友情をもっとフィーチャーすべきであろう。そうすればもっとドラマは盛り上がっただろうが、そこを曖昧にしたまま進行してしまったのが惜しまれる。
悪魔が宿った楽譜というアイディア自体も決して悪くはないのだが、それを巡って繰り広げられるサスペンスが中途半端で盛り上がらないのも残念だ。楽譜を狙う適役が登場するのだが、結局これが後半のパニックシーンで埋もれてしまうという勿体なさ。
ヒロインがブロディに惹かれる理由も説得力に欠けるし、エンドロール後のオマケも理解不能。
正直、話はどうでもよく、ゴア描写と下ネタと勢いだけで突っ走っていったという感じの作品である。
個人的には、ブロディがヒロインとベンチに座って一緒にアイスを食べるシーンが今作一番の笑いのポイントだった。何とも言えないとぼけた笑いを誘う。
尚、先頃続編の製作が決定したということである。スタッフ、キャストは同じということなのでテイストは一緒になると思うが、勢いや表現がマイルドにならなければいいのだが。