「地獄のデビル・ドラック」(1986米)
ジャンルホラー・ジャンルアクション・ジャンルSF・ジャンルコメディ
(あらすじ) 謎の飛行物体が地球に接近し、その影響で次々と機械が勝手に暴走するという怪現象が全米で多発する。ビルたちが働くガソリンスタンドに、ゴブリンの仮面をつけたトラックたちがガソリンを入れろと押し寄せてくるのだが…。
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(レビュー) 余りにもバカバカしい内容に突っ込みを入れながら観るB級作品である。しかし、本作はスティーヴン・キングが監督しており、氏のファンならば一見の価値はあるかもしれない。
内容はトラックやブルドーザー、自販機、ミキサーなどが暴走して人間に襲い掛かるというホラー仕立てで進行する。機械が人間を襲うという設定は「トランスフォーマー」(2007米)も同じなのだが、いかんせんこちらはCGが使えない頃の作品なので全編チープである。はっきり言って迫力不足で緊張感も皆無である。
トラックの暴走と言えば、スティーブン・スピルバーグの「激突!」(1971米)も思い出されるが、そのオマージュも散見される。
正直、モダンホラーの帝王キングも映画監督としての才能には恵まれなかったということが、本作を観るとよく分かる。彼自身もそのことを分かっているのか、映画監督としての仕事は本作1本限りで辞めてしまっている。
ただ、全体的にコメディ調が貫かれており、楽しく観れる作品であることは間違いない。おそらくキング自身もホラー作家という自らのレッテルを裏切る形で、敢えてコメディ・タッチに傾倒しているのかもしれない。
その最たるは、ゴブリンの仮面をつけたトラックの造形である。仮に本気で怖がらせようとするのなら、完全にセンスを疑うようなビジュアルで、完全に笑いを取りに行っていることが分かる。
野球少年が、自販機から飛び出してくる缶ジュースをキャッチャーマスクを被って応戦するシーンも笑ってしまった。
音楽は全編にAC/DCの曲がかかり、映画の軽快さに一役買っている。キング本人のたっての希望ということらしい。
主演はエミリオ・エステベス。当時は若手アイドル俳優として人気沸騰中だった。確かに格好いいが、トラックと正面切ってタイマンを張る姿には、やはり笑うしかなかった。