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神風

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「神風」(1986仏)星3
ジャンルサスペンス・ジャンルSF
(あらすじ)
 長年勤めていた会社を、ある日突然解雇されてしまった中年科学者アルベール。家に閉じこもり鬱屈した感情を抱えながら彼はテレビの出演者に対して激しい怒りを示すようになる。そして、テレビの受信アンテナを改造して機関銃のような機械を開発し、次々とテレビに映ったニュースキャスターを殺害していくのだった。

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(レビュー)
 何とも突拍子のない設定に最初は戸惑いを覚えたが、不況に喘ぐ社会やインターネットが普及する情報化社会を先読みしたかのような内容に不思議な魅力を覚える作品である。

 製作がL・ベッソンということでハリウッド作品張りにしっかりエンタメに振り切った所が潔い。監督は、彼の「最後の戦い」(1983仏)や「サブウェイ」(1984仏)で助監督を務めた人物ということである。ベッソンほどの切れはないものの、過激な行動をエスカレートさせていく中年男の暴走を時にブラックに、時にシニカルに描いた所に中々の才気が感じられる。また、決してハッピーエンドとは言い難いオチもフランス映画らしいエスプリが効いていて印象的だった。

 L・ベッソンと言えば、今や自身のプロダクションを率いて多数の作品をプロデュースしており、その先駆け的な作品という言い方ができるかもしれない。氏のプロデューサーとしての才能が、すでにこの頃からあったということがよく分かる。

 個人的には、前半はやや退屈してしまったが、中盤で刑事がアルベールに罠にかけるあたりから一気に面白く観ることができた。刑事とアルベールがブラウン管を通じて対峙するシーンは、さながら「デスノート」を想起させるシチュエーションである。

 ラストの手前で交わされるアルベールと刑事のやり取りも味わい深い。アルベールが犯した罪は許されるべきものではないが、彼にもこうなる様々な事情があったということが分かり、何だか憐れに見えてしまった。

 ちなみに、映画を観終わっても、タイトルの「神風」には今一つピンとこなかった。アルベールが日の丸の鉢巻をして顔を白塗りにして夜の街に出るのだが、彼が新日家であるならこのタイトルも納得だが、別にそういうわけでもなさそうである。どうして「神風」などというタイトルになったのか不思議でならない。

 キャストでは、アルベールを追い詰める刑事役でフランスの名優リシャール・ボーランジェが出演している。事件捜査の絡みで少しばかりロマンス要素が芽生えるが、これは今一つ中途半端で残念である。しかし、ストイックに犯人を追い詰める姿勢は悪くはなく、中々渋い演技を見せてくれる。

 音楽はベッソン作品の常連エリック・セラが担当している。軽快な音楽が如何にも80年代的テイストで良い。
[ 2023/01/05 00:02 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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