「ルクス・エテルナ 永遠の光」(2019仏)
ジャンルサスペンス
(あらすじ) 女優ベアトリス・ダルの監督デビュー作の撮影が始まる。魔女狩りが主題の映画で主演を務めるのはシャルロット・ゲンズブール。この日は磔のシーンが撮影される予定だったが現場は混乱続きで中々思うようにはいかなかった。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 「CLIMAX クライマックス」(2018仏ベルギー)、
「エンター・ザ・ボイド」(2009仏)の鬼才ギャスパー・ノエ監督が描くシュールでカオスな中編作品。世界的ブランド”イヴ・サンローラン”とのコラボ作品で、劇場公開もされた。
尚、ウォン・カーウァイともコラボしており、そちらはyoutubeで見れる。「NIGHT IN SHANGHAI」という作品で、カーウァイ自身が監督しているわけではないが、キュレートという形で関わっているので、興味のある方は検索してみるといいだろう。
さて、今回もかなり強烈な映像作品になっている。
序盤から二分割画面で進行するという実験色の強い作り。ベアトリス・ダルとシャルロット・ゲンズブールの動と静のキャラクターを対比させる構図になっているが、画面分割に特に法則性はなく、時に撮影現場を記録するスタッフのカメラだったり、プロデューサーや撮影監督、雑誌記者、スタイリスト等の表情を捉える映像だったりする。縦横無尽に切り替わる画面が、トラブル続きで混乱する撮影現場をシニカルに表現している。
ただ、魔女狩りをテーマにした撮影現場であるが、特にそれについての映画と言うわけでもない。そのためドラマ性もあまり見いだせないのだが、強いて挙げれば映画を撮ることの苦労が偲ばれるということは良く分かる。
ドストエフスキーやドライヤー、ファスビンダーの言葉が時折クレジットされるが、それらとの相関も理解しきれず。ただ、実験映画という括りで捉えれば、確かに面白い試みではある。
映画のクライマックスは光が延々と点滅するというノエらしい挑発的でエキセントリックな演出が続く。画面を観続けていると目がおかしくなりそうであるが、以前からこうしたトリップ疑似体験はノエ作品における大きな特徴でもあった。そういう意味では、いかにもノエにしか作れない作品になっている。