「コヤニスカッティ」(1982米)
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ) 自然と文明の営みを雄大な音楽にのせて綴った壮大な映像コラージュ作品。
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(レビュー) 息を呑むような美しい映像の連続と、壮大なテーマソングに心奪われるドキュメンタリー作品である。
雄大な山々、大海原といった大自然を捉えた映像から、石油採掘、高層ビルが立ち並ぶ街の風景、巨大な自動車工場、マーキュリー計画等、文明の軌跡を辿るような映像が次々と映し出され、その圧倒的なスケール感に打ちのめされてしまう。
その一方で、人類が文明を発展させた弊害として、気候変動やエネルギー問題といった負の部分も本作は鋭く指摘してる。
タイトルの「コヤニスカッティ」とは、ホビ族の言葉で“平衡を失った世界”を意味しているということだ。映画のラストでその意味と共に表示されるが、なるほどこれは本作のテーマをよく表していると思った。繁栄の先に待ち受ける絶滅という未来、ある種黙示録的な含意を読み取ることができる。
ナレーションは一切なく映像のみのコラージュであるが、決して難解というわけではない。次々と流れていく映像を見ていれば、自ずとこうしたメッセージは明確に汲み取れよう。
個人的に最も印象に残ったのは、高層ビルの影に徐々に隠れていく満月の映像だった。仮にこれがトリック映像ならそれほど驚きもしないのだが、ここに映し出される映像はどれも本物ということらしい。そう考えると、これがいかに神秘的で幻想的な光景か。
尚、本作は製作にフランシス・F・コッポラの名前がクレジットされている。ただ、実際には彼は作品に関わっているわけではなく、本作をいたく気に入り名前を貸しということらしい。また、本編中に本人が少しだけ登場してくる。自分はまったく気づかなかったが、どうやらエレベーターに乗り込む姿が見れるらしい。
監督のゴッドフリー・レジオは今作を含め”カッツィ”三部作を製作したほか、ミュージッククリップなどでも手掛ける寡作家である。機会があれば残りの2本も鑑賞してみたい。