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わが青春に悔なし

黒澤明戦後第1作の作品。色々と思う所はあるが女性映画として見事に昇華されている。
わが青春に悔なし<普及版>わが青春に悔なし<普及版>
(2007/12/07)
原節子;藤田進;大河内傳次郎;杉村春子;三好栄子

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「わが青春に悔なし」(1946日)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 昭和8年、京都大学の学生で八木原教授の娘幸枝は、同級生の野毛、糸川と親友関係にあった。野毛が軍国主義を批判し学生運動にのめり込んでいく一方、糸川はひたすら法曹の道を目指し勉学に明け暮れていた。幸枝は行動的で頼りがいのある野毛の方に惹かれていく。その後、彼は左翼主義を先導したかどで逮捕拘留されてしまう。それから5年後、東京に出た幸枝は糸川に偶然出会う。糸川は検事をしながら平凡な家庭を築いていた。糸川から野毛が出所したことを聞いた幸枝は、たまらず彼の勤め先である出版社を訪れる。再会した2人はそのまま同棲する。しかし、その幸せも長くは続かず‥。
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(レビュー)
 京大滝川事件とスパイ・ゾルゲ事件をモチーフにして作られた作品。降りかかる不幸を物ともせず力強く生きる女性の姿がハードに活写されている。

 黒澤明監督の戦後第1作で、後半の豪快な演出は大いに見るべき点がある。
 幸枝を演じた原節子を泥まみれの農家の嫁に仕立てて、徹底的に追い詰めたところはいかにも黒澤タッチだ。特徴的なのは原に対するクローズアップの多用で、ヒロインの成長を見事に捉えきっている。悲しみ、喜び、逞しさといった感情が漏れなく画面に映し出され、それまでの小津作品におけるイメージが一新された。
 また、中盤でたびたび洒脱な演出が見られるのには驚かされた。黒澤明もこういった小手先のテクニックに走ることがあるのか‥と意外な感じがした。

 ところで、この映画には所々に恣意的なイデオロギーを強く感じてしまう部分がある。
 製作当時の情勢を考えればこれは当然であって、当時はシナリオの段階で進駐軍による検閲があった。思想的なテーマを扱うには随分窮屈な製作体制にあったはずである。
 例えば、時代に抗した野毛に込められた意味は、遠まわしな軍国主義に対する批判であり、彼に対する愛を貫き田舎で畑を耕す幸枝に込められた意味は、戦後日本の農業政策キャンペーンの一環のように見える。言わば、アメリカ側に都合の良いように作られているような気がしてならない。これは、同年公開された木下恵介監督作「大曾根家の朝」(1946日)が反軍国主義的なイデオロギーを持った作品であることからもよく分かる。興味深いのは両作品とも同じ脚本家という点だが、いずれにしても当時の映画作りの難しさというものを如実に表した両作品だと思う。

 とはいうものの、女性の独立というメッセージは結末で見事に昇華されている。さすがは黒澤明といったところである。転んでもただでは起きない。娯楽作品として立派に料理した所に巨匠としての意地を見た思いである。
[ 2008/08/28 03:31 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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