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スロータージャップ

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「スロータージャップ」(2017日)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 町山永遠は、フジサキ率いるヤンキー集団に目をつけられ、白昼堂々集団リンチされる。更に兄の龍にそそのかされ当たり屋をやって金を稼ごうとするが失敗。車に轢かれて脳に障害を負ってしまう。永遠の仇を討つために龍はフジサキに復讐しようとするのだが…。

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(レビュー)
 ヤンキー集団に絡まれた兄弟、永遠と龍が、万引き常習者アキフミと出会ったことで過激な暴力の世界に引きづり込まれていく衝撃のバイオレンス作。

 監督、脚本、撮影、編集は阪元裕吾。大学在学中に自主製作した短編「べー。」(2016日)で注目された新鋭である。「べー。」も本作に通じるような無軌道な若者たちによる暴力をテーマにした作品だった。そのクールでオフビートな演出には新人らしからぬ大胆さがあり、今回もそのあたりの才覚は見て取れる。

 また、物語のトリッキーな構成も目を引く。永遠と龍の兄弟を描くドラマと万引き常習者アキフミのドラマを並行して描きながら、この二つが中盤で予想外の邂逅を見せ驚かされた。個人的には「パルプ・フィクション」(1994米)を連想したが、タイトルのインサートのタイミングや猟奇的なシーンなどから園子音監督の「愛のむきだし」(2008日)「冷たい熱帯魚」(2010日)の影響も感じる。

 演出はシュールでオフビートなトーンが横溢し、どこか安手のB級映画のような微笑ましさ、ユーモラスさが感じられた。正直、決してクオリティが高いとは言い難いのだが、かえってこの粗さが独特のチープな魅力を生んでいるという言い方もできる。

 例えば、ヤクザたちとヤンキー集団の衝突シーンには笑ってしまった。そもそも拳銃の使い方をその場で教えてもらうというド素人臭からして何とも間抜けで苦笑せずにいられない。
 後半のアキフミの暴走っぷりにはブラックなカタルシスを覚えるし、彼の恋人の予想の斜め上をいく活躍ぶりにも爆笑してしまった。
 その一方で、アキフミと隣人とのやり取りにはオフビートなユーモアも感じられ、阪元監督の笑いのセンスは硬軟自在、実に多彩である。

 ただ、確かにここまでやりたい放題してしまうと、ドン引きしてしまう人がいても不思議ではない。倫理的な観点からすればすれば大ヒンシュクもので、これを受け付け難いという人がいるのは当然という気がした。しかし、それを大胆にやってのけてしまうあたりは、やはりインディペンデントならではの強みであろう。中々やろうとしてもできるものではない。

 但し、障碍者に対する悪意のある描写については余り感心しなかった。この度を過ぎたブラックさも阪元監督の狙いなのだろうと思うが、もう少し愛のある配慮がどこかで必要だったのではないだろうかと思う。
[ 2023/03/26 00:45 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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