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知りすぎた少女

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「知りすぎた少女」(1963伊)star4.gif
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 ノーラは病床に伏す叔母に会うためローマにやって来た。ところが、叔母はその晩、急死してしまう。その後、彼女は街中で女性が刺殺されるのを目撃した。しかし、彼女以外に目撃者がおらず、証拠も残っていないため、警察からは幻覚として真面目に受けとってもらえず…。

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(レビュー)
 連続殺人事件を目撃してしまった少女の恐怖を幻惑的なシーンを交えながら描いたサスペンス作品。

 冒頭、ノーラが飛行機で相席になった男から煙草を貰うのだが、ここが本作の一つのポイントだろう。その煙草はマリファナ入りで、彼女は劇中で頻繁にタバコを吸う。ということは、彼女が連続殺人事件に巻き込まれたというのも、実は彼女の幻覚なのではないか?という疑惑が当然起こってくるのだ。

 実際、後半の浜辺のラブシーンなどは明らかに不条理的で、ここは彼女の妄想で間違いないと思うが、もしかしたらそこ以外にも彼女の幻覚シーンはあったのかもしれない。

 監督、脚本、撮影は「血塗られた墓標」(1960)のマリオ・パーヴァ。

 いわゆるジャッロ映画の始まりは本作と言われている。後にダリオ・アルジェントやルシオ・フルチなどイタリアの映画作家が、この系譜を進化させていくのだが、その原点がここにある。

 プロット自体はジャッロのお手本のようなところがあり、今観てしまうとそれほど新鮮という感じはしない。ただ、虚実を混濁させるような幻惑トーンによって、最後まで面白く観れる作品になっている辺りは、他の追随を許さない特性が感じられる。

 そして、マリオ・パーヴァと言えば、映像に対するこだわりである。現実とも妄想ともつかない独特の緊張感を漂わせた作りに氏のセンスが感じられる。
 強烈な照明効果でシャープな陰影を創り出し、奥行きを意識した大胆な構図を取り入れ、回想シーンでは不穏な画面処理を施し、ノーラにとっての悪夢を再現して見せている。

 また、風の音や録音機から出る音など、音響面の演出も今作は非常に際立っていた。

 尚、ラストは少しユーモラスな終わり方になっていて、作品の印象を程よくマイルドな味わいにしている。

 キャストでは、ノーラを助ける医師役でジョン・サクソンが登場してくる。善人から悪人まで多彩にこなす器用な二枚目俳優であるが、ここでは完全に前者の役柄で中々ハマっていた。
[ 2023/05/08 00:15 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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