「ブラックサバス /恐怖!3つの顔」(1963伊)
ジャンルホラー・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 3本のオムニバス・ホラー作品。
脅迫電話に悩まされる女性を描いた第1話「電話」。吸血鬼の恐怖を描いた第2話「ウルダラク」。悪霊が宿った指輪の恐怖を描いた第3話「一滴の水」。
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(レビュー) イタリアン・ホラーの父マリオ・パーヴァ監督によるオムニバス作品。
第1話はジャッロ風、第2話はゴシック・ホラー、第3話はオカルト物といった具合に、夫々に違った楽しみ方ができるバラエティに富んだ内容である。
オムニバスなので、全体的にはあっさりとした味付けになっているが、要所にパーヴァらしい作家性が散見でき、彼のファンであれば十分に楽しめる作品ではないかと思う。それにしても、これだけ多彩なテイストを一本の作品にまとめ上げてしまうパーヴァの器用さには恐れ入る。
夫々に好みはあろうが、個人的には第3話に最も見応えを感じた。緑色の照明を大胆に使用した映像に超然とした不気味さが感じられる。パーヴァらしい独特のセンスが炸裂した好編と言って良いだろう。
また、悪霊に取りつかれた老婆の造形の不気味さもインパクト大で、一度観たら悪夢に出てきそうなほどの怖さであった。
第1話は1シチュエーションで展開される短編的な作品で、ラストにアッと驚く展開が用意されている。軽いジャブから入ったという感じで、映画の導入としてはまずまずの出来栄えである。
第2話は、今作でもっと長い作品で、恐ろしいだけではなく、吸血鬼を巡る一家の悲哀に焦点を当てた結末に味わいが感じられた。
キャストでは、映画の冒頭とエンディングで、フランケンシュタインの怪物役などで有名な名優ボリス・カーロフがホスト役として登場してくる。彼は第2話にも主演している。
尚、ロックバンドの”ブラックサバス”は本作から名前を取ったということである。