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あのこは貴族

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「あのこは貴族」(2020日)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 榛原華子は東京生まれの箱入り娘。20代後半になり恋人に振られたことで焦り始め、婚活に奔走する。そして、ついに良家の生まれである弁護士の青木幸一郎と出会い婚約する。一方、地方から名門大学に進学した時岡美紀は、学費が続かず中退しOLとして働きながら今も東京でがんばっていた。そんな二人がひょんなことから知り合い…。

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(レビュー)
 東京と地方出身の同世代の女性の生き方を繊細なタッチで描いた作品。

 華子と美紀の関係を時世を交錯させながら紐解いていく構成が中々良く出来ている。彼女たちが仕事や恋、女性としての幸せを追い求めながら葛藤する姿を丁寧に描いており、最後まで面白く観ることが出来た。

 但し、都会と地方の格差描写が紋切的過ぎるきらいがあり、若干リアリティに欠くドラマだと思った。
 例えば、冒頭の会食のシーンからして会話が漫画的で違和感を覚えた。
 華子が婚活で出会う男たちも、絵に描いたようなオタクだったり、ダメ男だったり、現実にこんなに分かりやすいキャラクターはそうそういないだろう…と苦笑せずにいられなかった。

 本作には原作がある(未読)。小説すばるで連載されていた小説ということだが、果たして対象年齢はどのあたりを設定しているのだろうか?アダルト層というよりも、本作の華子たちと同じ20代を想定しているのだとしたら、それも止む無し。

 もっとも、全編通して、こうした”軽さ”が作品の観やすさに繋がっていることは確かだと思う。結婚できない、仕事が上手くいかないといった悩みをストレスフルに見せることで、作品に対する敷居は随分と低く設定されている。そういう意味では、多くの観客に受け入れやすい作品なのではないだろうか。

 また、所々にハッとさせるようなセリフが出てきて、そこは素直に魅力を覚えた。
 「女は場を和ませるサーキュレーターじゃない」
 「私たちって東京の養分だね」
 誰もが心の底に思っていることを、アイロニカルなセンテンスで包み込んで表したあたりが秀逸である。

 また、美紀と里英は地方から出てきた者同士、固い友情で結ばれているのだが、彼女たちの会話もユーモアに溢れていて面白かった。例えば、喫茶店で脱毛をネタに談笑するシーンは実に新鮮だ。男子高校生であれば当たり前すぎて面白くないが、それを30代の女性二人が話すというのが良い。

 物語は後半から徐々にシリアスモードに入っていく。ただ、最終的には前向きなメッセージが投げかけられており鑑賞感は清々しい。結婚や仕事ばかりが人生ではない。30代になった彼女たちが今後どんな未来を切り開いていくのか?その可能性を示した終わり方は優しさに満ちている。
[ 2023/06/09 00:24 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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