「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019米)
ジャンルアクション・ジャンル青春ドラマ・ジャンルファンタジー
(あらすじ) サノスとの戦いの後、ピーターは大きな喪失感に捕らわれながら、スパイダーマンとしてニューヨークの市民を守る戦いを続けていた。そんな中、学校の仲間とヨーロッパ旅行に出かけ、徐々に昔の明るさを取り戻していく。そこに元S.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリーから新たな指令が下る。異次元から来たというミステリオに引き合わされ、ピーターは彼と共闘して新たなる敵に立ち向かっていくことになるのだが…。
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(レビュー) 「スパイダーマン:ホーム・カミング」(2017米)の続編にして「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」(2019米)の直後の話ということである。尚、自分は「アベンジャーズ」シリーズは第2作で止まったままである。しかし、観ていなくても、ある程度の設定は分かっていたのでスンナリと入りこむことができた。少なくとも前作の「ホーム・カミング」を観ておけば、最低限内容は理解できるようになっている。
本シリーズのスパイダーマンは、明るくポップな学園生活を基調としたジュブナイル感が一つの特徴だと思うのだが、それがここでもしっかりと継承されている。恋あり、友情あり、戦う宿命を背負ったヒーローとしての成長が漏れなく描かれており実に周到に作られていると感じた。
物語はストレートで大変明快で親しみやすい。学校の仲間たちもそれぞれに魅力的に造形されていると思った。
また、今回の適役もトリッキーな役回りを持たされていて、物語を上手く盛り上げていたように思う。
見所は前半のベニス、それとクライマックスのロンドンを舞台にした戦闘シーンである。前者はベニスの美しいロケーションをバックに水の怪物との大立ち回りが展開される。後者は更に大掛かりな戦闘シーンでスペクタクル感抜群の盛り上がりを見せている。
そこではドローンが大活躍するのが一つの特徴で、これも時代の流れか。中々面白いギミックになっている。
今回のラスボスはそのドローンが創り出す”幻影”である。これも中々ユニークだった。目に見える物よりも見えない物にこそ真実が宿るというのは本作のテーマを象徴していると思った。この視認の不確実性は、正体を隠して戦うピーターの宿命、孤独を見事に表現している。今回はある意味で自分との戦い、スパイダーマンとして戦うことの意味が追求されているような気がした。
ただし、余りにもアクションシーンに比重を置きすぎたため、ドラマの上積みがそれほど無かったのは惜しまれる。
また、突っ込み所も散見される。例えば、旅行の最中にたびたび抜け出すピーターを教師が不審に思わないのはどう考えても不自然で、途中からは完全にピーターだけが別行動になってしまう。本当にそれでいいのか?と突っ込みを入れたくなってしまった。
野暮とは分かっていても、こういうのが一旦気になってしまうと、鑑賞する目も冷めてしまうものである。
尚、エンドクレジット後には次回に繋がるオマケがついていてるので最後まで見届けよう。