「ターボキッド」(2015カナダ)
ジャンルSF・ジャンルコメディ・ジャンルアクション
(あらすじ) 核戦争で文明が崩壊した世界。ヒーローコミック『ターボライダー』に憧れるキッドはBMXに乗って荒野をサバイバルしていた。ある日、謎めいた少女アップルに出会い惹かれていく。ところが、アップルは土地を牛耳るゼウス率いる悪党軍団にさらわれてしまう。キッドは彼女を取り戻すために、ターボライダースーツに身を包むと敵のアジトへと乗り込んでいく。
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(レビュー) ヒーローに憧れる少年がBMXに乗って荒廃した世界を舞台に大活躍するSFアクション作品。
低予算のインディペンデント映画ながら、80年代オマージュに溢れた作風が受けて一部でカルト的な人気を博した作品である。
シンセサイザーをフィーチャーした劇伴、「マッドマックス」や「北斗の拳」を思わせる世界観、中二病溢れるギミックとコスチュームデザイン、過激なゴア描写など、マニアックな要素をこれでもかと盛り込んだ作りが潔い。明らかにチープな特撮シーンも敢えて狙ってやっている節が伺え、何だか微笑ましく観れた。
また、キッドとアップルのロマンスがユーモラスに描かれており、凄惨な物語を幾ばくかまろやかにしているのも良い。実は、アップルには”ある秘密”が隠されており、彼女の存在がドラマの肝要を担っている。
物語は実にシンプルであるが、正直ドラマで見せるタイプの映画ではないので、色々と粗が目立つ。
例えば、キッドが『ターボライダー』のコスチュームを手に入れる経緯が余りにもご都合主義なので、自分はこれは全てキッドの走馬灯なのではないかと思ったのだが、どうやらそういうわけではない。これほどまでに捻りのないストレートな展開は、昨今のヒーロー映画でもそうそう見かけない。
クライマックスの戦いも含め、アクションシーンはオフビートなテイストが全開で決してうまく出来ているわけではない。しかし、かえってこの緩さが味とも言える。
キャストにもこだわりが感じられた。かつて悪役として活躍していたマイケル・アイアンサイドがゼウス役を憎々しく演じている。久しぶりに見れて何だか懐かしくなった。