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BLUE/ブルー

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「BLUE/ブルー」(2020日)star4.gif
ジャンルスポーツ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 ボクシングジムで黙々とトレーニングに励む瓜田は、負け続けのボクシング人生を送っていた。同じジムの後輩・小川は対照的に才能に恵まれ、いまや日本チャンピオンに挑もうとしていた。しかも瓜田の初恋の相手・千佳との結婚も控えていた。そんなある日、ジムに楢崎という青年が入門してくる。彼は女の子にモテたいという理由だけでボクシングを始めるのだが…。

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(レビュー)
  3人のボクサーたちの戦いの日々をドラマチックに綴ったボクシング映画。

 瓜田、小川、樽崎。三者三様、夫々の栄光と挫折を描いており、群像劇として大変よくできた作品である。「ロッキー」(1976米)をはじめ古今東西様々なボクシング映画が作られてきたが、こういう形でボクサーの光と影を描いた作品というのは今まであるようでなかったのではないだろうか。新鮮に観ることが出来た。

 監督、脚本は「ヒメアノ~ル」(2015日)「愛しのアイリーン」(2018日)「空白」(2021日)の吉田恵輔。wikiによれば、氏は中学時代から30年以上ボクシングジムに通っているということである。なるほど、それを知ると本作のリアルなジムの風景や、ボクサーたちの厚みのある内面描写も頷ける。

 例えば、瓜田は勝敗にこだわりがなく、他にやることがないからという理由だけでボクシングをやっている。完全にボクサーとしての人生を諦めた落伍者なのだが、後輩たちに対する指導は確かで、頼れる先輩としてジムの中では貴重な存在となっている。こうしたキャラクターは想像だけでは中々造形できないと思う。おそらく吉田監督の実体験に基づいて作られたキャラクターなのではないだろうか。

 あるいは、試合後はアルコールを控えなければならない理由や、スパーリングの危険性等、何となくは理解していたが、本作ではそのあたりもプロの視点でしっかりと語られている。今作はボクシングを題材にした映画ではなく、ボクシングその物についての映画という感じがした。

 物語は、瓜田以外に、小川と樽崎というボクサーが登場してくる。
 小川は恋人との結婚を考えているが、パンチドランカーになったことで運命を暗転させていく。
 樽崎はひ弱な青年から徐々一人前のプロボクサーに成長し、やがて先輩を追い越すほどの存在にまでなっていく。

 この両者については、いわゆるボクシング映画ではよく見られるような型にはまったキャラで、どうしても既視感が拭えなかった。ただ、そうした”お約束”も含め、ボクシングに賭ける夫々の想いは十分面白く観れたし、自然とアツいものがこみ上げてきた。

 また、劇中には随所にユーモアが散りばめられており、このあたりの捌き方も吉田監督は堂に入っている。
 例えば、女の子にもてたいという樽崎の軽薄さは今時の若者という感じがしてクスリとさせられたし、アパートで練習していたら大家に怒鳴り込まれるといったエピソードも微笑ましく観れた。

 一方、細かい点で幾つか気になることもあった。
 一つは、楢崎のライバルとなる練習生に関するエピソードである。彼は映画中盤である悲劇に見舞われるのだが、この処理の仕方が存外安易に思えてならなかった。
 もう一つはこのジムにおける体調管理はどうなっているのかという点である。パンチドランカーに苦しむ小川を、ジムの会長が全く気付かないというのはどう考えてもおかしい。いくら本人が隠していたとしても、毎日傍で見ていてるのだから何かしらの兆候は感じなかったのだろうか。

 キャスト陣では、瓜田役の松山ケンイチ、小川役の東出昌大、楢崎役の柄本時生。夫々に熱演していると思った。役作りという点では、いずれ劣らぬものを見せてくれている。彼らの演技合戦は本作最大の見所と言える。
[ 2023/11/01 00:42 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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