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スカイ・クロラ

押井守の作品にしては割と見やすい。色々と考えさせられる映画だ。
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「スカイ・クロラ」(2008日)星3
ジャンルアニメ・ジャンルSF
(あらすじ)
 現代に似たもうひとつの世界。人類はショーとしての戦争をすることで平和を維持していた。兵士として戦うのは年をとらない子供達キルドレ。戦争請負会社ロストックのパイロット、ユーイチは欧州戦線に配属される。そこには元パイロットで深い喪失感を抱えた女性司令官クサナギ・スイトがいた。ユーイチの前任者ジンロウのことについて聞くと彼女は口をつぐんだ。ある日、そんな彼女に娘がいることを知りユーイチは驚く。その時、敵であるラウンテル社のエースパイロット”ティーチャー”の攻撃が襲い掛かってくる。
スカイ・クロラ The Sky Crawlers@映画生活

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(レビュー)
 パイロットとして空を飛ぶことを運命付けられたキルドレの悲劇を描いたSFアニメーション。

 監督は押井守。持って回った台詞回しで作品に難解さを持ち込むこれまでの作風と違い、本作は映像で語ることに主眼を置いているようだ。
 ただし、世界観や人間関係、組織といった背景の説明は舌っ足らずで、決して明快な作品とは言いがたい。そこを推察する楽しみ方ができるかどうかで、作品の評価は分かれてきそうである。個人的には、終始ミステリアスな語り口に引き付けられた。

 この映画には原作があるが、押井ワールドが多分に封入されていることに驚かされる。キャラクターのネーミングに始まり、キルドレが置かれている閉塞的な環境、ヴァーチャル戦争という素材、犬も登場してくる。「攻殻機動隊」シリーズ、「トワイライトQ迷宮物件」(1987日)、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984日)、「Avalonアヴァロン」(2000日)等、これら過去作品のモチーフがふんだんに盛り込まれていて、押井フリークなら思わずニヤリとさせられるだろう。

 そんな中、“キルドレ”というキーワードは、今までの押井作品には見られなかった新しい素材だった。
 戦争するために生まれてきた子供というこの素材は、ピーターパンの逆をいくような存在である。大人の幼稚化、少子化社会、果ては我々日本人には対岸の火事に見える異国の地で命を散らす少年兵の姿、様々な現代的な問題がアイロニーに風刺されている。人類が未熟な生き物になっていく未来を暗に示唆するような、そんな悲観がこの“キルドレ”というキーワードには込められているような気がする。

 もう一つ、これまでにないキーワードとして登場するのが“ティーチャー”という言葉である。明確に示されてないが、スイトが彼に遭遇した際の行動を考えてみると、そこに彼女の私怨がはたらいているのではないかと推察できる。
 スイトはこの物語で言わば母親のような役割を担わされてるように思う。当然父親は?ということになるが、それがこのティーチャーという存在と被って見えてくる。ユーイチを含めた三人の関係を想像してみると興味が尽きない。男女のロマンスはもとより、エディプスコンプレックス的な愛憎まで見えてきて、これまでの押井作品には見られなかった新鮮さがあった。

 緻密に作られた映像はすばらしい。特に戦闘シーン。音響もセンシティブなところにまで行き届いていて感心させられた。

 声優陣に関しては、スイト役の菊池凛子に不満が残った。難しい役であることは確かだが、周囲の演技とのギャップがありすぎるため、どうしても違和感をおぼえてしまう。
[ 2008/09/07 14:53 ] ジャンルアニメ | TB(0) | CM(0)

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