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マイスモールランド

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「マイスモールランド」(2022日)star4.gif
ジャンル青春ドラマ・ジャンル社会派
(あらすじ)
 17歳のサーリャは、幼い頃に父と一緒に日本にやって来たクルド難民である。父と中学生の妹、小学生の弟と平和な暮らしを送っていた。ある日、彼らの難民申請が不認定となり在留資格を失ってしまう。移動制限によって県外へ出ることができないばかりか、働くことも許されない中、家族はたちまち追い詰められてしまう。

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(レビュー)
 クルド難民の少女の葛藤と成長を描いた社会派青春ドラマ。

 難民申請が取り下げられてしまった外国人一家の苦しい状況を極めてシビアに描いた問題作である。日本における移民政策の問題をまざまざと見せつけられた思いになり、鑑賞後は色々と考えさせらえた。

 サーリャの父親は政治的なデモに参加したために国を追われて日本へやって来た難民である。暫く平和に暮らしていたのだが、ある日突然、難民申請が却下され家族全員が在留資格を失ってしまう。映画の中では申請取り下げの理由が一切描かれておらず、ひたすら悶々とさせられるのだが、実際に日本で難民申請が認められるケースは非常に少ないということだ。
 後で調べて分かったのだが、制度成立から令和3年までの申請数は約9万人で、そのうち難民と認定された者はたったの千人、難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めたものは約5千人ということである。いかに難民認定率が低いかがよく分かる。

 ただ、一方で申請を認めない国の言い分も理解できなくもない。申請者の中には難民であることを偽っている者がいて、中には単に出稼ぎに来ている者、ブローカーを経由して入国しようとする者も多くいるという。本当の難民かどうか判別するのが難しいということなのだろう。

 こうした申請者の実態を知ると、先頃話題になった「入管法」の改正議論も見方が変わって来る。人権問題に結びつけて議論するだけでは、到底事足りる問題ではない。現場目線での改革から始めていかない事には、どうにもならない問題なのではないか…という気がした。

 さて、映画の内容に話を戻すと、サーリャの目線に寄り添った作りが奏功し、青春ドラマとして大変上手く作られていると思った。また、ジャーナリスティックな鋭い視点も随所に配しながら、移民の問題についても真摯に語られていて見応えを感じる。

 監督、脚本は、これが初長編となる新人、川和田恵真。
 特に奇をてらった所は無く堅実な演出が貫かれている。製作に是枝裕和が名を連ねており、企画には彼が主宰する映像制作者集団「分福」がクレジットされているのも大きい。川和田はこれまで是枝作品で監督助手を務めていたらしく、その流れから本作の企画が始まったものと思われるが、こうした題材はメジャー製作会社からは中々生まれてこないだろう。そういう意味では、川和田監督の強いこだわりが感じられる。

 サーリャを演じた嵐莉菜は初見の女優であるが、モデル出身ということもあり、大変チャーミングで魅力的であった。ただ、演技自体はまだ固さが残っており、場面によってはこなれていないと感じる個所があった。

 彼女の家族も実際の家族がそのまま演じているということで、やはり演技そのものは余り上手くはない。自然体で良いという意見もあろうが、芸達者な周囲のキャストに交じるとどうしてもギャップを感じてしまった。

 尚、最も印象に残ったシーンは、家族揃ってラーメン屋で食事をするシーンだった。まるでドキュメンタリーと見紛うような生々しさに自然と笑みがこぼれてしまった。師匠である是枝監督のドキュメンタリズムの影響を強く感じた。

 また、サーリャはバイト先で聡太という青年と仲良くなっていくのだが、これが中々可愛らしく描かれていて微笑ましく観れた。後半、二人の関係が終焉を迎えるか…と思われた矢先、聡太がサーリャと妹と弟を連れて小旅行に連れていくシーンが印象に残る。それまでの閉塞感を一気に打ち破るような清々しさに心が洗われるようだった。

 本作で欲を言えば、父親の最後の”選択”にはもう少し説明が欲しかったか…。どうしても唐突に映ってしまった。
[ 2023/08/21 00:45 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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