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THE NET 網に囚われた男

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「THE NET 網に囚われた男」(2016韓国日)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンル社会派
(あらすじ)
 北朝鮮の漁師ナム・チョルは貧しいながらも妻と幼い子どもと幸せな日々を送っていた。ある日、いつものように漁に出たところ、ボートのスクリューに網が絡まりエンジンが故障してしまう。そのまま漂流をつづけて韓国領内に入ってしまった彼は、韓国警察に拘束されスパイ容疑で執拗な取り調べを受けることになる。

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(レビュー)
 南北朝鮮の狭間で揺れる平凡な漁師の運命を緊張感みなぎるタッチで描いた社会派作品。

 監督、脚本、撮影は「弓」(2005韓国)「絶対の愛」(2006韓国日)「嘆きのピエタ」(2012韓国)「メビウス」(2103韓国)「STOP」(2016韓国日)のキム・ギドク。

 独特なスタイルで数々の問題作を撮り上げてきた鬼才であるが、今回は意外にも正統派な社会派作品になっている。それまでのシュールで観念的な作風を封印し、極めて生真面目にテーマの抽出を試みた姿勢は、いわゆるこれまでのギドク・スタイルとは明らかに異なる。正直、ギドクの作家性を知る者としては少し物足りなさも覚えるが、しかしここまで正調な社会派エンタメ作品を撮れるところに新たな才気も感じる。長らく南北間にくすぶり続ける軋轢を見て、ギドクも色々と思う所があったのかもしれない。前作「STOP」もそうだが、混迷する現代社会の中で自分が何をできるのか?そうした作家としての使命のようなものが作品作りのモチベーションになったのかもしれない。

 とはいえ、ギドクらしさは幾つかの場面で見られる作品で、例えばナムが受ける非道な尋問シーンにおけるシビアで陰湿な演出は流石としか言いようがない。厳しい責めを受けるナムの姿は観てて憐れとしか言いようがなかった。

 北朝鮮に残してきた家族を心配する姿にも憐憫の情を禁じ得ない。北と南に引き裂かれた家族というのは、この手の南北分断をテーマにした作品ではよく目にするものであるが、同じ民族同士で憎しみあうことの理不尽さ、不幸が今回も悲痛に訴えかけられている。

 このように全体的に重苦しさが貫通される作品だが、一方で警察の中には優しい捜査官もいて、彼とナムの交流には唯一ホッと一息つけた。彼は傷つき疲弊するナムを心配して色々と世話を焼いてくれる。その関係はどこか疑似父子のようにも見れてしみじみとさせられた。

 そんな中、最も印象に残ったのは、韓国警察の取調官の中に、私情を絡めて厳しい尋問をするキャラがいたことである。彼はナムを目の敵にするのだが、その理由が途中で判明する。彼は朝鮮戦争で家族を失っていたのだ。
 連綿と続く両国間の憎しみの歴史をまざまざと見せつけられ、これでは平和など当分訪れないだろうと思い知らされる。
[ 2023/08/27 00:39 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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