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冬の小鳥

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「冬の小鳥」(2009韓国仏)星3
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 9歳のジニは、父に連れられソウル郊外へとやって来る。楽しいひと時を過ごしたのも束の間、彼女はカトリックの児童養護施設に連れていかれ、そのまま置き去りにされてしまう。ジニは父が必ず迎えに来てくれると信じて待つのだが…。

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(レビュー)
 養護施設に預けられた少女の孤独を静謐なタッチで綴った作品。

 時代設定が1975年ということだが、今でもこうした孤児院はあるのだろうか…。
 先頃観た是枝裕和の「ベイビー・ブローカー」((2021韓国)は現代劇だったが、赤ちゃんバンクをモティーフにした作品だった。経済的な理由から子供を育てられなくなった親のためにこうした慈善的なシステムがあるわけだが、本作の養護施設もその一つのように思えた。

 尚、本作は監督自身の実体験を元にしているらしい。大好きな父に見捨てられた幼い少女の絶望、孤独は実に丁寧に描写されており、そこに監督のこだわりが感じられた。

 演出は実に端正に整えられている。この手のドラマにありがちな変に涙を誘うジメジメとした演出もなく、極めて冷静で客観的な眼差しが貫かれており、全体的に好感の持てる作りである。
 例えば、ジニが父に捨てられたことを知って涙するシーンは、描こうと思えばいくらでも盛り上げられるだろうが、敢えてそうはしていない。ダラダラと描写せず、簡潔に切り上げた所に、監督の”自信”みたいなものが感じられた。

 カメラも常にジニの目線の高さに設定されており、彼女から見る世界観が徹底されている。例えば、序盤は父親の顔すらはっきりと見せないという徹底ぶりで、このあたりの演出は実に計算高い。それによって、終盤の”ある展開”が活きてくる。

 物語は、ジニと周囲の子供たちの交流、更には本作のキーとなる傷ついた小鳥にまつわるエピソード、そして周囲のサブキャラの一人、足の不自由な少女の恋愛談などが描かれていく。

 印象に残ったのは、ジニが仲の良い友達を失って以降の展開である。友達が養子に貰われて行くのだが、ジニは不安と孤独に駆られ”ある行動”に出るのだ。ここは非常にスリリングに観れた。

 全体的に隠滅としたトーンが続くため若干取っつきにくい作品かもしれないが、このシーンを含め、監督の思いがひしひしと伝わってくるような作りになっている。

 個人的には「ぼくの名前はズッキーニ」(2016スイス仏)というアニメ映画も連想した。これも孤児の日常をシビアに綴った作品だったが、アニメーションというジャンルゆえ、子供同士の触れ合いがユーモラスに描写されていた。それと比較すると、本作にはそうしたホッと一息つけるような場面がほとんどない。このシビアさはかなりのものである。

 尚、プロデューサーに「オアシス」(2002韓国)のイ・チャンドンが名を連ねている。どうやらチャンドンは今回の脚本に惚れこんでプロデュースを買って出たということである。思えば「オアシス」もかなりシビアな内容で圧倒されたが、それと同様のテイストを本作からも感じ取れた。
[ 2023/08/30 00:22 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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