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生き残るヤツ

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「生き残るヤツ」(1971米)星3
ジャンルサスペンス・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 チンピラのジェイが久しぶりにシャバに出所してくる。更生する気など全くない彼は、早速路上の車を盗もうとするが、そこで車の持ち主パームとかち合い意気投合し、そのまま恋に落ちる。やがて、麻薬を絶ってまともに働こうとするジェイだが、かつての仲間に誘われて再び悪の道に引き戻され…。

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(レビュー)
 退廃的なニューヨークを舞台に、チンピラの刹那的な生き様が独特のユーモアとシニカルな眼差しで綴られた作品。
 世間的には余り知られていない映画であるが、アメリカン・ニューシネマの隠れた佳作ではないだろうか。

 演出はニューヨークロケを巧妙に取り入れながら、ドキュメンタリータッチが横溢する。ただ、要所にユーモアを配しており、隠滅にならずに観れるのが今作の良いところかもしれない。また、ジェイは基本的に何事においても楽観主義者で、己の無軌道な性格も相まって、どこか屈託なく観れるのが良い。

 例えば、ジェイとパームのラブシーンは互いの腕にキスをするという一風変わった演出で描かれている。ハードコアな内容のわりに、逆にプラトニックな愛撫なのが新鮮で可愛らしく感じられた。
 あるいは、刑事の追跡を逃れるジェイがコインランドリーの洗濯機の中に隠れるシーンも笑ってしまった。真顔で回転するジェイの姿が何ともシュールで可笑しい。
 全裸に女性用のネグリジェを着てニューヨークの大通りを駆け抜ける姿も傑作である。

 他にも、本作では中々エキセントリックな演出が見られる。例えば、パームの絶叫が途中から飛行機の轟音に切り替わる音響演出などは、他では余り見ないセンスで新鮮だった。

 物語は終盤にかけて徐々にシリアスに傾倒していく。そこで見せる哀愁漂う演出も、少し凝ったものが多い。
 例えば、砂浜でジェイとパームが抱擁するシーンは、彼女の歌声を美しくフィーチャーしながら、赤子のように怯えるジェイを優しく包み込み、まるで子守唄のように聴こえてきて印象深い。パームの母性とジェイの卑小さが、画と音で上手く表現されていた。

 極めつけは、ジェイの相棒ビリーの顛末である。ジェイの心中を推し量ろうにも、こちらの気持ちが追い付かず、揚げ句の果てには”あの顛末”である。社会に適合できないアウトローの悲哀が、いかにもアメリカン・ニューシネマらしい乾いたトーンで描かれている。

 キャストも夫々に好演していると思った。ジェイを演じたジョージ・シーガルは適役であるし、パーム役のカレン・ブラックも少し頭の足りないヒロインを無邪気に演じていて愛らしかった。
 また、ロバード・デ・ニーロが刑事役、バート・ヤングがマフィアの子分役で少しだけ出演している。ソフトのジャケットに大きくデ・ニーロが写っているが、ほんの脇役なので要注意。
[ 2024/01/06 00:40 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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