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ジョー

「ジョー」(1970米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 コンプトンは娘が薬物中毒で倒れたという知らせを受けて病院に駆け付ける。命に別状はなかったが、娘をたぶらかしたヒッピー青年の部屋を訪れて怒りに任せて彼を殺害してしまった。その足でバーへ行くとジョーという酔っぱらいに気に入られ、奇妙な交流を育んでいくようになる。

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(レビュー)
 ヒッピームーブメント真っ盛りだった頃の独特な空気感、世相が色濃く出た作品で、アメリカン・ニューシネマの興隆の中で製作された1本と言って良いだろう。しかし、若者世代による権力、大人に対する反抗をテーマにした作品群と一線を画した、大変珍しい作品でもある。旧世代が若者世代に復讐を果たすという、逆転の発想が斬新だ。

 物語は娘と付き合っていた麻薬密売人を殺めてしまった父親コンプトンが、ジョーという危険な香りを漂わせた男に出会い、徐々に彼に振り回されていく…という展開で進む。本質的にはシリアスな犯罪モノなのだが、ブラックユーモアなテイストがそこかしこに配されており、中々一筋縄ではいかない作品になっている。

 その最大の要因は、謎めいたジョーのキャラクターにあろう。
 大会社に務めるインテリなコンプトンと、工場勤務のブルーカラーのジョー。立場も性格も真逆であるが、何故か彼はコンプトンを気に入り近づいてくる。そして、今回の殺人事件をきっかけに二人は徐々に関係性を深めていくようになる。

 最も印象に残ったのは、コンプトン夫妻がジョーの家に夕食に招かれるシーンだった。ぎこちない会話、気まずい空気が流れる中、両夫婦の微妙な距離感が中々スリリング且つユーモラスに描かれている。

 監督、撮影は後に「ロッキー」シリーズや「ベスト・キッド」シリーズをヒットさせるジョン・G・ヴァルドセン、脚本は後に「セルピコ」(1973米)や「マンディンゴ」(1975米)といった話題作を手掛けるノーマン・ウェクスラーという布陣である。両者はこれまで大きなヒット作に恵まれずにいたが、本作をきっかけに注目されることになった。

 きめ細やかな演出が貫通され全体的には見事な仕上がりを見せていると思った。強いて言えば、中盤が平板な展開で退屈したか…。ただ、クライマックスは一転、強烈なバイオレンス・シーンで作品の印象度をグンと引き上げている。

 キャスト陣では、ジョーを演じたピーター・ボイルの不気味な造形が印象に残った。コメディからハードなシリアス物まで、何でも器用にこなす名バイプレイヤーであるが、その変幻自在振りが今回の難役に上手くハマっていた。表向きは気の良い男に見えて、実は過激なサイコパスという二つの顔を絶妙に演じ分けている。
 また、スーザン・サランドンがコンプトンの娘役で映画デビューを果たしている。
[ 2023/11/13 00:29 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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