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誰もがそれを知っている

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「誰もがそれを知っている」(2018スペイン伊仏)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 ラウラは妹の結婚式に出席するため、子どもたちを連れて故郷スペインに帰省する。家族や幼なじみのパコと久々の再会を果たし喜ぶラウラ。ところが、結婚式の夜、宴の喧騒をよそに娘のイレーネが姿を消してしまう。やがて巨額の身代金を要求するメッセージが彼女の元に届く。

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(レビュー)
 監督、脚本は「彼女が消えた浜辺」(2009イラン)「別離」(2011イラン)「セールスマン」(2016イラン仏)「英雄の証明」(2021イラン仏)のアスガー・ファルハディ。

 故国イランを離れて、ペネロペ・クルスやハビエル・バルデルといったスペインの俳優を起用して製作された作品である。これまではイラン社会を背景にした社会派的な視点を持った作品を作ってきた氏だが、今回は割とジャンル映画的な作りになっている。

 物語は、誘拐犯を突き止めるサスペンス、イレーネが狙われた理由を解き明かすミステリを中心にして展開されていく。事件が起こるまでややまどろっこしくテンポが今一つと感じたが、肝心の事件発生後は中々スリリングでグイグイと引き込まれた。そこにはイレーネの過去にまつわる秘密も隠されている。

 そして、今回の事件の背景にはもう一つ、パコの過去も関与している。彼は元々は小作人の息子で、現在はワイナリーの経営者として成功している。そのブドウ畑はかつてラウラから安く手に入れた土地を耕してこさえたものである。彼はイレーネの身代金のために、それを売り払おうとする。そこには彼なりの理由があった…ということが終盤になって判明していく。その理由を知ると、これはパコにとって正に運命の悪戯としか言いようがない事件に思えた。

 ファルハディは今回もBGMを一切使わず、演者の熱演を子細に掬い上げながらシーンにヒリつくような緊張感を生み出している。ただ、得意の長回しは今回は余り見られなかった。

 一方、犯人捜査に結婚式の様子を映したドローン映像を用いたのは中々新鮮なアイディアだと思った。これまでのファルハディ作品ではこうしたテクノロジーを使った演出は余り見られなかったので意外である。

 バルデル、クルスの好演も見事で、脇を固めるキャスト陣も渋い演技を披露しており、全体的にキャスト陣の層の厚さが作品のクオリティを支えている。

 ただ、繰り返しになってしまうが、社会派的なテーマは今回のドラマには見られず、鑑賞感は良くも悪くも、よくあるエンタメという感じがしてしまった。ファルハディ作品を観てきた者としては、やはりイランを舞台にしたガツンと来るような骨太な作品を期待したい所ではある。
[ 2023/09/09 00:47 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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