fc2ブログ










ウェンディ&ルーシー

pict2_307.jpg
「ウェンディ&ルーシー」(2008米)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 ウェンディは愛犬ルーシーと一緒に旅をしながら暮らしていた。ある日、車が故障で立ち往生し、スーパーで万引きをはたらいたウェンディは逮捕されてしまう。どうにか釈放されるが、その間にルーシーはいなくなってしまった。ウェンディはルーシーをあてもなく探し回るのだが…。

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ

(レビュー)
 ルーシーとの絆を取り戻そうと懸命に奔走するウェンディのひたむきな姿に感動を覚える。ルーシーはただのペットではなく、彼女にとっては人生のパートナーであり、大切な家族なのだろう。そんな彼女の愛がひしひしと伝わってきた。

 監督、共同脚本は「リバー・オブ・グラス」((1994米)「オールド・ジョイ」(2006米)のケリー・ライカート。

 ウェンディの喪失感を丁寧に綴るタッチは、まるでダルデンヌ兄弟のような静謐さと繊細さに溢れている。ウェンディのバックストーリーを極力伏せた作りは賛否あるかもしれないが、徹底したリアリズムで突き放した所に見応えを感じた。ラストのほろ苦さも決して後味が良いとは言えないが、ライカート監督の眼差しが貫通されているので有無をも言わせぬ説得力が感じられ、これはこれで当然の帰結と言う感じがした。

 また、本作のウェンディを見ていると前作「オールド・ジョイ」(2006米)に登場したカートを思い出してしまう。カートはヒッピー上がりの流浪の男だったが、ウェンディもまた家を持たずに旅を続ける女性である。どうしてそういう生き方を選んだのか、その理由は分からないが、ともかく常識に捕らわれながら”せせこましく”生きる現代人のアイロニーとも取れるキャラクターである。最近観た「ノマドランド」(2020米)にも通じるメッセージ性が感じられた。

 前作との共通点はもう一つある。それは、犬が重要な役回りで登場するということである。前作ではマークの愛犬が旅に同行していた。本作も犬のルーシーが相棒のように旅に同行している。こうしたアイディアの流用とも取れる要素から、両作品を姉妹作のように鑑賞することもできよう。

 ライカートの演出は、前作のような沈滞したトーンは弱まり、デビュー作に近いメリハリをつけた演出に戻っている。
 ただ、要所では独特のトーンを出しており、例えば焚火で映し出されるクローズアップの不穏さや、ウェンディが暗闇の中に引きずり込まれそうになるシーンなどは、さながらホラー映画のような怖さも感じられる。こうしたダークなトーンは、これまで余り見られなかった演出で新鮮だった。
 また、ウェンディが歩くストリートの壁に「終わってるヤツ」という落書きが書かれていたが、これなどは正に彼女のことを指しているのだろう。こういうポップな”毒”も実に上手いと感心させられた。

 尚、ラストのウェンディを見ると、どうしてももう1本思い出してしまう映画がある。それはリー・マーヴィンが主演した「北国の帝王」(1973米)だ。ホーボー映画の代表作のような作品であるが、本作はそこに連なる新たなホーボー映画という言い方ができるかもしれない。
[ 2023/10/14 00:26 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/2280-b785b882